第78話 特殊能力追加

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 078_特殊能力追加

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 僕はさっそく特殊能力集めを始めた。

 やっぱり最初は清州ダンジョンかな。


 第一エリアのダブルヘッドラビット、ゲッコウフロッグ、足長クモからは特殊能力を持ってなかった。全ての魔物が特殊能力を持っているわけではないようだ。

 ボスの大クモは倒されていたからスルーして、第二エリアへ。


 第二エリアのゴブリンからは何も手にはいらなかったけど、ホワイトモンキーからは『投擲』、リトルデーモンからは『火操作』が手に入った。

 おそらくボスのブルーリトルデーモンからは『水操作』が手に入ると思うけど、倒されていたのでスルー。

 第二エリアで二つも特殊能力が手に入るとは思っていなかったから、嬉しい誤算だった。


 第三エリアのブラックフラワーからは『麻痺』、サイレントバットはなし、大モグラもなかった。ボスはスルー。


 第四エリアはゴブリンとホブゴブリンで、共に特殊能力はなかった。ボスはスルー。


 第五エリアのゴブリンライダーはなし。でもエネルギーボールは『発光』を持っていた。『発光』は敵の目くらましにいいかもしれないけど、これだけでは逃げ切るのは弱いよね。


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 次は枇杷島ダンジョンに入った。

 結論から言うと、グレートサーペントから『毒操作』、風のエレメンタルから『風操作』、土のエレメンタルから『土操作』、オークジェネラルから『オーク強化』、ゴブリンメイジから『下級魔法』、ゴブリンジェネラルから『ゴブリン強化』、ファイアリザードから『火操作』、ロックゴーレムから『岩纏い』が得られた。


 駆け足で二つのダンジョンを巡った。『時空操作・改』の転移はマジで便利だよね。

 一番ありがたいのは、『毒操作』だね。これは毒を生成するだけでなく、毒耐性も備えているんだ。だから睡眠薬や麻痺毒のような、動きを抑制するような毒や薬に強くなる。

 あと『火操作』『風操作』『土操作』は逃げるのに役立ちそうだ。それと『岩纏い』は純粋に防御力が上がるから、いいものだ。


 これらの特殊能力に、ワイバーンの『飛行』と隠し通路の『隠す』を皆に覚えてもらおう。

 あとはこれから入るダンジョンで良い特殊能力があれば、その都度覚えてもらう感じかな。


 実家に帰って皆に僕のせいで迷惑をかけるかもしれないと説明し、それぞれの結晶を使ってもらう。


「これで私もレヴォリューターなんだね! シーカーになっちゃおーかなー」

「ダメだ! アイカまで危険なシーカーになるなんて、父さん許さないからな!」


 父さんが激しく反対して、アイカはシーカーになるのを断念。

 かなり激しく却下していたから、父さんは本当にアイカのシーカーに反対なんだろう。

 僕が危険なシーカーになると言った時もかなり反対したから、アイカだけはと思っているのかも。そう考えると、僕は親不孝なことをしているのかもしれないな。


 皆に覚えてもらった特殊能力を使ってもらうために、庭に出た。

 うちの庭は塀で囲まれているから、外から見られることはないのがいい。

 それに古い家だから、敷地も広いんだよね。


「あははは。これ面白い~」


 アイカは『火操作』で出した火でお手玉している。


「あら、これ面白いわね」


 母さんは『風操作』でマリリ●・モンローのようなことをして遊んでいる。


「ほう、これは……」


 お爺ちゃんは『土操作』で庭の土を掘って、『水操作』で水を入れて池を造った。錦鯉を飼う池の拡張だ。


「ふむ。不思議な感じだな」


 父さんは『岩纏い』で体を岩で纏った。その見た目はゴーレムそのままだね。

 後で聞いたけど、岩で体を覆っても呼吸できるらしい。ただ動きはどうしても遅くなる。


「あらま~」


 お婆ちゃんは『飛行』で空を飛んでいる。心臓麻痺を起こさないでね!

 それと高く飛んだら、外から丸見えだから!

 あ、お婆ちゃんの姿が見えなくなった!?


「リオン」

「うひゃっ!?」


 急に耳元でお婆ちゃんの声がして、驚いた。


「お婆ちゃんの姿、見えたかい?」

「見えなかったよ。『隠す』を使ったの?」

「そうだよ。特殊能力というのは、面白いねぇ」

「それは良かった。でも無理や無茶はしないでね。お婆ちゃん」

「あいよ」


 お婆ちゃんは返事してまた姿を消した。

 なんだかんだ言って、僕の家族は特殊能力を使い熟している。僕なんて『結晶』を使い熟すのに何年もかかったのに……。しかも『魔眼』がないと、今でも使えないんですけど。


 皆には『麻痺』『隠す』『火操作』『風操作』『土操作』『毒操作』『下級魔法』『投擲』『発光』『岩纏い』『飛行』を覚えてもらった。

 街中では絶対に使わないように言い聞かせておいたけど、ちょっと心配だ。それ、犯罪だから絶対にやめてね。


 僕も家族の皆と同じ特殊能力を覚える。『隠す』だけは『隠蔽』にした。皆が『隠蔽』は僕が使うといいと言ってくれた。

 今後もいい特殊能力があったら、皆に配ろうと思う。


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「僕の『結晶』が『結晶・改』に変わったことで、皆に迷惑をかけるかもしれないんだ。ごめんね」

「迷惑だなんて、そんなこと思いません。もし私たちに何かあっても、それはリオンさんじゃなく、悪さをした人たちや組織が悪いのです。ですから気にしないでください」

「ミドリさん……ありがとう」


 ミドリさんの言葉に、皆も同意して気にするなと言ってくれる。

 僕はいい仲間に恵まれた。


「そんなわけで、皆にも特殊能力を覚えてもらうね」

「いいのですか?」

「いいよ。でも特殊能力が増えたことは言わないでね。『結晶・改』のことは秘密でお願い」

「「「はい!」」」


 クランメンバーにも特殊能力を覚えてもらう。


 ミドリさんは『下級魔法』と『飛行』を、アズサさんは『麻痺』『隠す』『発光』『飛行』を、アサミさんは『毒操作』『岩纏い』『飛行』を、ルカは『毒操作』『飛行』を選んだ。

 フウコさんは一切興味を示さず、今のままでやっていく。

 あとアオイさんも誘拐される可能性があるから、うちの家族と同じ『麻痺』『隠す』『火操作』『風操作』『土操作』『毒操作』『下級魔法』『投擲』『発光』『岩纏い』『飛行』を全て覚えてもらった。


「私もシーカーになろうかな(笑)」


 アオイさんが軽やかに笑う。

 でも『SFF』を上げて最悪な状況に備えておくのもいいかも。


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 今日は自衛隊富士演習場で試作宇宙船の飛行試験を行っている。

 ヨリミツや安住製作所の社員、そして自衛官たちが慌ただしく準備をしている中、僕は椅子に座って俯瞰するように現場を眺めている。

 横にアオイさんが座ってなかったら、手持ち無沙汰でしょうがない状況だ。


「空気が張り詰めてますね」

「この国は資源が乏しいから、他国に先駆けて月や火星などの開発を進められたら、大きな一歩になるようだね」


 ダンジョンから資源を得られるけど、それはそれこれはこれらしい。

 重力エンジンというアドバンテージがあるためか、国は早く宇宙開発をしたいらしい。

 その第一弾として自衛隊の衛星を低コストで打ち上げたいのだとか。


「これまではロケットを打ち上げるのに、一回当たり最低で数十億が飛んでいくらしいからね。重力エンジン搭載の宇宙船なら、それがかなり抑えられるらしいよ」

「たしか一回の打ち上げコストが二千万円くらいまで下がる試算でしたね」


 生命結晶と重力結晶で打ち上げや航行に必要なエネルギーを完全に賄うらしい。

 また、重力エンジンは打ち上げる場所を選ばないし、振動や強力なGもない。エレベーターのように上昇して宇宙へ上がれると聞いた。そういったことから、消耗品が少なくなる計算らしい。


 大気圏への再突入に関しても、今までのような超高熱で焼かれることない。多少の摩擦熱はあるらしいが、これまでの温度に比べるまでもない温度で、ゆっくり降下してくると聞いている。だから耐熱素材の劣化もかなり遅いらしい。


 総じてコストは低下する。

 一〇回宇宙に行ったら、一〇億円くらいのオーバーホールが必要になるが、それ以外では一回に二千万円だったら、かなり安いだろう。


 今回の宇宙船製造に関しては、僕の結晶が大いに役立っている。

 エネルギー源になる生命結晶と重力結晶だけじゃなく、機体に『飛行』の特殊能力を付与したり、対熱板に『火操作』を付与することで耐熱性を上げたりしているのだ。


 これらはヨリミツが考えたことだけど、機体や部品に特殊能力を付与することで今までにない能力が出せているらしい。


「またお前の特殊能力に頼ったが、いつか技術でそれを追い越してみせるからな」


 負けず嫌いなヨリミツは特殊能力を科学の力で越えようと試行錯誤している。


 試作宇宙船が上昇していく。

 ロケットのような派手な打ち上げシーンはない。ロケットエンジンは不要。それが重力エンジンだ。


 試作宇宙船にとりつけられたカメラの映像が、モニターに映し出される。

 全て順調だとパイロットの音声も聞こえる。


 試作宇宙船はパイロットに負担をかけないように徐々に加速し、成層圏を越えて宇宙へと到達した。

 エレベーターの加速より少しだけGがかかるくらいだと、ヨリミツは言っていた。それならほとんどの人が耐えられる。


 黒い空間に巨大な地球の青が映える。

 計器類に問題はない。船内の気密性にも問題ない。


 試作宇宙船は加速を続けながら、地球を二周して戻ってきた。

 大気圏突入もあっさりしたもので、多少の発熱はあったものの問題はないレベルだった。


 安住製作所と自衛隊の面々は、無事に帰還した試作宇宙船を歓喜の声で迎えた。

 僕も拍手してパイロットや製作に携わった全ての人に称賛を贈った。


「ヨリミツ、おめでとう」

「成功するのは分かっていたことだ。次は実際に物資を運ぶ船を造る。お前に負担をかけるが、頼む」


 ヨリミツが僕に頼むなんて珍しい。いつもは有無を言わさずやれと言う感じなのに。

 ヨリミツは元々宇宙の研究をしていたから、それだけ宇宙開発への想いが強いんだろうね。


 口には出さないけど、僕にできることはなんでも協力するよ。これからも僕はヨリミツを応援するからね。



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