第1921話 モノは言いよう

コンビニの精算機に一万円札を入れ、出てきた釣札の中に


「矢吹丈に辛うじて勝ちはしたものの精神をボロボロにされ白髪になってしまったホセ・メンドーサ」のような5,000円札が混じっていた


二つ折りとか四つ折りの跡が残るくらいなら分かるが


16折りくらい跡が付いていて、その折り目の端々が切れかかっている


あと、これ何回踏んだ?くらいに表面もザラザラ・・・よく詰まらなかったものだ


もう解放してください・・・

造幣局に返してください・・・


蹂躙されまくった樋口一葉が、いっそのこと殺してくれと懇願しているようにも見える


「みて、これ」事務所に戻って皆に見せてみた


「えっこれワザと?」

「死後1ヶ月くらい経ってるじゃないですか笑」


そういう感想になるわな笑


いや、これは、俺の手元に回り回ってきたのも縁かも知れん


ちょっと財布の中で休んでいて貰おう。


で、その夜、皆で飲みに行った際にそんなことなどすっかり忘れ、精算時に支払ってしまった


これはまだまだ働かねばならんようだな、あんた。


・・・という話を帰りのタクシーで谷やんにしていると


「Tさん、なんか詩人みたいに言うてますけど要は早く手元から処分したかっただけですやん」


バレた?( ̄▽ ̄;)

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