第1304話 その演出は・・・

客に連れてきてもらった小料理屋の女将が


体格が宜しいですね、何かスポーツなさってたんですかと訊いてきたので


ああ小さい頃からピアノ漬けでしたと返答する


女将「あら~!一層の事ピアノよりもピアニカのほうが面白いんじゃありません?」


俺「そう?じゃあピアニカ吹いてまして・・・って言いますわ今度」


女将「こちらのお客様から"ピアニカ"いただきました~!」


「おうっ!!」突然大将が奥に引っ込む


連れの客に「どうしたんですか?」と聞くが


「まあまあ、お待ちください」ニッコリ微笑まれる


程なくピアニカを持ち


口に唄口(うたぐち:息を吹き込むパイプ)を咥えた大将が戻ってきた


「えっ!まじのピアニカ??」他のカウンター客も驚いている


ぷっぷっぷっぷっ

ぷぷぷぷーぷー

ぷっぷっぷっぷっ

ぷぷぷぷーぷー


う~ん何の曲か分からんが


3分程の演奏が終わった瞬間、俺はいちおう拍手した


「ポル・ウナ・カベーサですよ。ブラボー大将!!」


俺を連れてきた客はどうやら、これを聴かせたかったようだが


突然のピアニカ演出は


真冬、カリフォルニアから東京にTシャツ半パンでくる外国人くらい場違いだ


俺は二度とこの店に来ないことを誓った

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