第1236話 どきどき

博多から大阪に向かう新幹線


俺はグリーン車のD席(左窓側)に座っている


途中、徳山という駅から


御夫婦だろうか、黒のスーツ・黒の着物姿の70前くらいの男女が乗ってきた


俺の隣、通路を挟んで右側AB席に座る


結婚式の帰り?御葬式の帰り?どちらにも見える


いずれにせよ2人とも、穏やかな笑みを浮かべながら無言


そのうち女性が「・・・見ます?」と声を発した


ちらっと右手に目をやると


女性は膝上に抱えていた大きな紙袋を足元に置き、中から何やら取り出そうとしている


両手で抱えて出してきたのは、白い布で四つ結びにされた長方形の物体


えっ?骨箱?!


引き出したその物体を膝に起き、結び目を解く


おだやかな表情でそれを見ている男性


いやいやいや・・・隣の俺に気遣いは無いのか?


結び目が解かれると、淡いピンクの箱が姿を現した


やはり女性用の骨箱じゃないか!(゚A゚;)


上蓋を開けた女性が中から骨壷を取り出そうとする


「おお~」男性が覗き込む


非常識すぎる・・・(;´д`)



バウムクーヘンだった

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