第942話 勝負

ぎゃあああぁぁぁ〜〜!!

いやあぁぁぁぁぁ〜〜!!

もういやああぁぁぁぁ〜!!


とあるスナックで18時から飲んでいると


突然、共用廊下から女性の凄まじい叫び声がした


まだ時間も早く、何処とも開けてないと思い込んでいたママと俺は


我々だけだったはずのフロアからいきなり大きな叫び声がしたので、飛び上がるほど驚いた


ママ「なになに?!こわいこわい!!」


俺「ちょっと見てくる」


扉を開けて外に出ると


エレベーター前で女性がへたり込んでいて、右隣の店から別の女性が出てきたところだ


「大丈夫だから!ほらしっかり!立てる?」声を掛けている


声を掛けた女性が飛び出てきた俺に気付き


「御免なさ〜いゴキブリが出ちゃって!」


そう俺に詫びてくる


「あっ、な〜んだびっくりしました〜笑」


「ほんとお騒がせしてすみませ〜ん」


ほら立って!と、へたり込む女性の手を引き上げながら、2人は店の中へと戻っていった


ホンマ凄い声出すからびっくりしたわ・・・俺も店に戻ろうとした時


「やだやだやだ!いやだ!!」


また先ほどの女性の甲高い声が聞こえてきた


あれ?

なんかちょっと変だ・・・


立ち止まり、聞き耳を立てていると


「いや〜!!やめて〜!!いやあぁぁぁ〜!!」


また凄い叫び声が聞こえたので、これは何か中でヤバいことが行われているに違いない!と確信し


「おいっ!大丈夫か!!」


声を上げながら隣のスナックの扉を開けて入った瞬間


「ぎょわあぁぁぁ!!」


俺も叫んでしまった


椅子に座った女性を囲んだ、2人の女性と1人の男性が


それぞれに小さな黒板を持ち、それをキキキキィ〜〜と爪で引っ掻いているところだった


引っ掻いてる3人も顔を歪めている


「何やってるんですか?!」


「・・・あっ、御免なさい!!」


誰が1番、長く耐えられるかを競っていたらしい


馬鹿じゃないの・・・


それで思い出した。


前に事務所で谷やんと宮里が


どちらが風船キュッキュ鳴らしに長く耐えられるか


それに負けた方が「ベスト・オブ・脳筋」認定だったらしいが


勝とうが負けようがアホじゃないの・・・

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