第941話 ブーメラン
ランニング途中に立ち寄る公園
この暑い最中、小学生の兄弟(であろう)が草むらを探索している
弟「あっ、ちんころがし!」
兄「え〜っ?きんころがしだよ」
父「フンコロガシね。でも日本にはいないよ」
兄弟「でもこれ!ほら!」
どれどれ、と父親はベンチから腰を上げ、2人のところに行く
草むらを覗いた父が「えっ?あっ!フンコロガシだ・・・」
「なに?すごいの?!」
「ちょっ、ちょっと虫かごか何か持ってこよう、ここで待ってて!」
父は、まるでツチノコを発見したかのように慌てて公園を走り去る
「え〜っ、待って!待ってよぉ〜!」
弟も走りだす
「あっ!何で僕だけ?!僕も行くからぁ〜!!」
兄も走りだす
おいおい。
見張り居なくていいのか?
何分後に戻ってくるのか検討もつかないが
あの3人の折角の興奮を醒ませてしまっては・・・と思い、俺はその草むらに向かう
ここら辺りを見てたよな・・・
しゃがんで草むらを覗き込んでみる
フンコロガシ(タマオシコガネ)はアフリカに生息する虫なので、なにか別種のコガネを見間違え・・・うわっ?!
思わず背後に倒れかける
そこにあったもの。
いや、置いてあったもの。
ゴムのゴキブリのかたまり。
これ・・・もしやハメられた?
あの家族に?
どこかに隠れていて、ドッキリYouTuberまがいの動画、撮ってるかも知れん
くっそぅ・・・
どうしたものか・・・
あ。
俺はランニング時、ウエストポーチに常時メモ帳を忍ばせている
よし。
日差しに焼けて熱々のベンチに座り、メモ帳を取り出す
その一枚に走り書きし、先ほどの草むらに四つ折りにして置く
そして何事もなかったかのように、あの家族とは反対側の出口に向かう
公園を出てすぐタタタタッと外周を走り
あの草むらの裏手あたりの公園の茂みから、身を低くしながらそっとベンチに近付く
思った通りだ
あたりをキョロキョロ伺いながら、あの家族が足を忍ばせ戻ってきた
父親はスマホをかざしているので、おそらく動画を撮っているのだろう
やはりな・・・。
俺もスマホを取り出し、動画を撮り始める
子ども(兄)が草むらを覗き込み、父親に向き直るとメモを指差している
父親がクイッと首を動かす
子どもが俺のメモを拾い上げて開く
「なんか書いてる」
「何て書いてある?読める?」
「ん〜・・・」
「かしてかして」
父親は手渡されたメモを映している
顔を上げ、あたりをキョロキョロ見回してから
「帰ろ!早く!行くよ!」
子どもたちに声を掛け、慌てて走り去って行った
ふふ、これに懲りてイタズラはほどほどに。
※以下全文
もう失うものがないから、すべてさらけ出したろと思って。
政治家になったからこそ、とことんまでやらなアカン。
お前の真実、晒したるから。
夢ある子供らが 安心して住める世界にするから。
やったるでー!
フンコロガーシー
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