第850話 続・人間失格

「◯◯くんのことで話がある。ちょっと応接に来い」


そう言っただけで察したようだ


「はい」とだけ答え、机の引き出しから何やら取り出し、宮里が俺に付いてくる


応接の扉を閉めるなり


「すみませんでした!魔が差しました!言おう言おうと思いながら言えませんでしたー!」


そう言うと宮里はテーブルに「辞表」と書いた封筒を置き、目の前で土下座する


「なんでそんなことしたんや?」


「いえ、もう、何を言っても言い訳になるしぃぃ!本当にすみませんでしたぁぁぁ!!」


なんだもうめっちゃ泣いとるやないか。


彼は、同年代の待遇としてはかなり良い方だ


しかしながら島の御多分に洩れず、彼もシングルマザーだった母親の家計を中学生の頃から支えてきた子だ


普段から色々と金も要り用だったのだろうが・・・


「お前、祝儀の金くらいに困っとるわけやなかろう?」


「はい、ただ・・・魔が差しましたぁぁ」


「お前、外でもこんなことしとるんか?」


「いえ!それだけは!誓ってやってません!」


「でもな、たった一回のことでお前の信用は無くなったぞ」


「はい・・・今日付けで辞めます」


「辞めてどうすんねん」


「あの・・・また松山(那覇)の・・・面接行ってみます・・・」


「あのな。何も俺の渡した金をくすねた訳やない。ちゃんと渡しとる。しかしやっとることはお前、セコすぎてカスや」


「はい・・・」


「まあええ、今回は許すよ。こんなもん破れ」


「は、はいぃぃぃ~!!」


「ところでお前、面接って。結局ホストやってみたいんじゃないのか(♯159)」


「えっ、まぁ・・・ちょっと・・・」



ホスト部作るか。

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