第833話 怪物

ナンパしようと思っていた訳でもなんでもない、ただの成り行きだった


通りを歩いていると、ふいに居酒屋の店先から飛び出てきた女子2人組が「どん!」とぶつかってきて


あはは痛ぁい〜やだ〜♡


ごきげんでケラケラ笑っているので


「なに、飲み足りんのなら行くか?」と100%冗談で言ったところ


「え〜良いんですかぁ〜!行く行く〜♡」


ノリノリな返答が返ってきた


「じゃあ直ぐそこのバーでも行く?」と聞いたら


「行こー行こー!!」と2人が俺の両脇にしがみついてくる


いやいや見ず知らずのオッサンに、また軽いノリで・・・


思わぬ反応に少々戸惑いながらも歩きだす


で、知り合いのバーに連れて行ったんだけれどもこの2人


姿かたちは女子だが飲む量が半端ない


泡盛のほぼロック(1センチほど水を足したもの)をガンガン飲むのに、ノリが変わらない


宮古のオトーリ※にも普通に参加して地元漁師に負けたことがないらしい(と、オトーリ免許も見せてくれた)


「怪物連れてきましたね・・・」


バーのマスターが苦笑いする


酒の強さをゲームのステータスで言うと、俺がA’(ダッシュ)なら彼女たちはSS


その後も、俺が降参というまで飲み続けた彼女らは1時間半後、店を出て通りにでると


飲み疲れて立ち尽くす俺に「ご馳走様でしたぁ〜♡」と言ってキャッキャキャッキャ歩きだした


そして通りの先で「どん!」と背後からオッサン二人組にぶつかる


「あははっ!やだ〜痛〜い♡」

「なになにお姉さんたち?楽しそうだなぁ!」


これはまた当たり屋の交渉が成立しそうだ・・・


てかなんであんなに元気なんだ・・・??


※宮古島の飲み方のならわし。順番にエンドレスに飲む。俺も免許証持ってます。

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