第758話 老人向け

クリスマス前だったか、郵便受けに何やら筒状のものが入っていて


なんだこれはと引き出すと、宛先住所はウチだが、宛名は女性の名前になっている


以前にも載せたが、今のマンションは新築で入ったから「前の住人」は居ないのに


明らかに老人向けの案内や郵便物が入ることがあって


誰かがデタラメな住所を言ったか、あるいは俺の住所を知っている誰かが間違ったか、のどちらかしかない


ちなみに差出人は書かれていない(書かなくても届くので)


毎度毎度、誰が送ってくるのだろう・・・まあいい、包装を破って見てみる


ポスターかカレンダーか・・・ん?


すこやかカレンダー?


小学生が描いたようなクレヨン画の、下半分に月表示のカレンダーが載っていて


1月から12月まで、老人向けの注意喚起が書いてある


「薄暮の横断歩道は、反射板を付けて歩きましょう」とか。


また老人向けかいな・・・


その翌日の事務所。


「・・・で、折角やから家の壁に貼ってんけどな」


事務のM嬢「貼ったの?笑」


「貼ったんやけど、注意どおり俺が足に黄色い反射板つけて、横断歩道てくてく歩いてたら不気味やろ」


「てくてく笑」


「・・・なに?」


「そんな言葉お爺さんしか使わなくないですか?」


「そんなことないやろ」


「てくてく笑」


「てくてくぐらい言うやろ!」


「・・・言います?」


U部長「あんまし言わないね」


「ですよねー?笑」


「お前らそんな、バカにするけどね。すこやかカレンダーの1月の注意事項、何て書いてあるか当てられるか?」


M「えっ、わかんない」


U「バカにはしてませんけど・・・名言格言とか?」


「『おもちはしっかり噛みましょう。歯のない方はしっかり切って小さくしてもらいましょう』だよ」


大爆笑されたそのカレンダーも、はや6月。


今月の注意事項

「手の甲をつまんだあと3秒以上痕が残ったら、すぐに水を飲みましょう」

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