第727話 通報先

何話目で載せたかを忘れたのだが、行きつけの酸素カプセルの店があって


月に2~3回通っていたのだが閉店してしまい、今は新しいところを見つけて通っている


ところがこの新しい店、店番に年齢不詳のケバギャルが1人居るのだが、これが全くヤル気なし


「いらったいまてー」


舌っ足らずなユルい接客

ずっとネイルを気にしてこっちも見ない


予約したにもかかわらず、行ったら居ないこともしょっちゅうだ


店内の受付のシャッターが閉まっているのだ


店自体はセルフで24時間入れるので(カードで入退室ができる)、別にギャルがいようがいまいが構わんのだが。


で、先だっても金曜の15時に予約したにもかかわらず、行ったら受付のシャッターが閉まっていてギャルが居ない


またサボリか・・・

それでもクビにならんというユルさ。


仕方がないのでカードで入り、適当な一台のカプセルに500円硬貨を数枚投入


時間と気圧をセットし、カプセルに潜り込んで扉を閉める


ちなみに客は俺1人のようだ


酸素カプセルを使われた方はご存知だと思うが


森の奥深くの木陰で寝そべっているかのように気持ちが良い


この日もそのうち、寝落ちしてしまった・・・


木漏れ日の差す、池のほとりで寝そべっていると


遠くから地響きが聞こえ、それがだんだん、こちらに近づいてくる


なんだ気分良く寝てるのに・・・


音のする方に顔を向けると、遠くから横一列に、凄まじい砂煙が迫ってくる


目を凝らして見ると・・・うおっ?!


こちらに駆けてくるのはなんと、タタリ神と化した乙事主とその軍団。


うわっ?!

俺まで祟られるやないか!!


ところが身を起こそうにも、周囲の草木が絡んで身動きが取れない


イノシシ軍団はもうそこまで来ている


うわあ~っ!

たすけて~っ!!


「おきゃくたまー?おきゃくたまー?!」


・・・へ?


そこで目が覚めた

右横の扉が開かれ、ギャルがこちらを覗いている


変な起こし方をされて一瞬、意識が彷徨ったというか


俺は訳がわからず


「なにしてんの!逃げて!!」と叫ぶ


ギョッとしたギャルが「バン!」と扉を閉める


その後、冷静になってから状況整理してカプセルを出ると


店の入口に遅刻ギャルが立っていて、何故か電話の子機を持ち、通話態勢を取ったまま俺を睨んでいる


「・・・なにしてんの?」


「通報するよ?!」


「は?どこに?」


「おかあさん!」


いや警察だろそこは



遅れてきた彼女が受付のパネルを見ると


カプセルのひとつが使用中になっている(ランプが閉になっている)のにタイマーが切れているので


様子を見に行くと、中で「あっ!あっ!」と何かが呻いている


勇気を出して扉を開け、声を掛けると


目を開けた俺が突然「なにしてんの!逃げて!!」と叫んだものだから


俺がカプセル内で何かに襲われている!!と思ったそうだ


「だいたい、いつか言おうと思ってたんだけどさ。今日だって俺、予約してたじゃん?昨日電話で話したよね?君が居ないからセルフで入ったけれども。初めからちゃんと店番してればこんなに驚くこともないのに笑」


苦笑いするギャル


「あとさ、犯罪かもって思ったんなら、なんでお母さんに電話するの?笑」


「・・・基地にいるから」


「あっ、ベース(軍関係)の人?!そういうことか~!どこ所属?」


「・・・アンソニーズ」


ピザ屋さんやないか~い。

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