第723話 続・痛い

新幹線の車両の先頭席で


小さな卓上扇風機をコンセントに刺し、回していたオッサンが


何を思ったか、じ~っと見つめていた、径が13センチくらいの扇風機に


どこからか引っ張ってきたのかタコ糸みたいなものを、ゆっくりと羽に近づけていく


ちなみに俺は斜め後ろの通路側でそれを見ている


そんなん入れたら絡むやろ・・・


しかし風で糸がクニャッとなり近づけられない


諦め切れないオッサンは扇風機の背後から糸を近づけていく


ぐるぐるぐる~、びん!


糸が絡んで動作不安定になった羽が全面のカバーごと外れて飛んだ


ばん!


顔を突き出し見つめていたオッサンの顔に直撃


「あうっ?!」


顔を押さえるオッサン


カバーと羽がコロンコロンと通路に転がり、慌ててオッサンは体を屈めてそれを掴む


そこで初めて、背後に俺がいた事に気付いたようだ


相当痛かったのか、右手で顔を押さえたまま寝たフリを始めた


何をしたかったのだ・・・

https://kakuyomu.jp/works/16816927860625905616/episodes/16816927860644409902

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