第722話 蝉

お盆を過ぎると、街中で鳴く蝉の声も段々と弱々しくなってくる


いわゆる「蝉(せみ)ファイナル」の季節だ


海(かい・孫息子)の小1の頃の話。


「あのね、この前ね、ママと歩いてたらね、セミがひっくり返ってた」


「あー、もうそろそろ蝉の時期も終わりだからなぁ」


「ちがうの、死んでないの。まだ足がすっごく動いてるの」


「うんうん」


「だからね、ひろってね、木にとめてあげたの」


「ちゃんと止まれた?」


「うん、とまった。きのうね、2回ねてからね、また木のよこ、とおったの」


「蝉どうだった?」


「うん・・・ぼくがとめたままだった。うごかなくなってた」


そうか。


孫は、地面でもがいている死にかけの蝉を木に止めてあげたが、結局そのまま、蝉は力尽きたのか。


孫が見せた優しさに、蝉は命の儚さをもって、大事なことを教えてくれたようだな。


「そうかぁ・・・でも蝉は絶対、海くんにありがとうって言「指でぴーんってしたら落ちた~笑」


( ̄ー ̄)

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