第707話 祝いの言葉
以前、金城くん(ウチの頭脳派)の朝礼の話を載せたことがあるhttps://kakuyomu.jp/works/16816927860625905616/episodes/16816927861940548817
ところがどうやら、それが初めてではなかったようだ
俺は後に聞かされたが、それは飲みの席での話だと思い込んでいた
昨年2月22日(月)の朝礼。
生憎この日も、俺は不在だった。
「あの僕、話して良いですか?」
金城くん、突然の申告
"どうしたおい、あんなに人前で話すのが苦手な奴が・・・?"
金城くんは颯爽と神棚の下まで進み向き直ると、にこやかに皆を見渡す
「本日、谷さんが入籍されるとのことなので、是非お祝いも兼ねて一言・・・」
"ああ!そういう事だったか!"皆が拍手する
谷やんも照れて頭を掻いている
谷やんの祝いを兼ねるというからには、家庭や夫婦にまつわる話なのかなと、皆は思っていた
そして彼は37分間、延々と火星の石の話をした
ナクライト隕石の分析により、火星にある火山「オリンポス山」が、少なくとも9000万年間に4回、噴火したという
皆それが、谷やんの入籍と何の関係があるのかと怪訝な顔で聞いていたそうだが
当の谷やんは真剣な顔で、時折りウンウン頷きながら聞き入っている
最後は金城くんに歩み寄り「有難う!」と握手していたらしい
【男は火星から、女は金星からやってきた】
そんなサブタイトルの付いた、『ベスト・パートナーになるために』という海外ベストセラー本を
2月初めに、金城くんが谷やんにプレゼントしたらしく
その延長で
隕石が落ちてこなければ火星のことなど判らなかった、つまり谷さんも奥さんと巡り逢ったのだから
ここからお互い、相手を知ろうとする気持ちを大切にしてください、という
朝礼には、そんな2人にしか分からないメッセージが込められていたらしい
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