第596話 けん

連れと、昼に入った定食屋


ホールの男子が水とメニューを持ってテーブルにやってくる


「お決まりになりましたらお呼びください」と去っていく


メニューを見ながら、ほんの1分ほど思案していると


先程の男子がやってきて「まだお悩みですか?」と言う


なんだそれサンドウィッチマンのコントか?


「悩んでねぇわ!」


連れと同時に突っ込んだ


「も、申し訳ありませんでした・・・お困りかと思い・・・失礼ありましたでしょうか?」


真面目そうなその青年、ギャグでもなく悪気があった訳でもなく


ただ言葉のチョイスを間違えただけのようだ


「いや、あのな?君が俺らに『まだお悩みですか』なんて聞いたらな、まだ決まらないんですかー早くしてくださいよーという風に、聞こえてしまうで?」


「あっ!・・・すみませんでした!」


最近、更に言葉がおかしくないか日本の若者たちよ・・・


そのうち外国の若者たちに負けてしまうぞ?


先だって、うちの国仲くん(23)が


フィリピンの大学を出て日本で就職した青年を1週間ほど指導することになった


卒業した大学は、日本でいうと東大クラス


英語やスペイン語はもちろんのこと


日本語においては、良くそこまで難しい言い回しを知っているな!と感心するほどだ


その青年の名前がレイ、指導する国仲が秀(しゅう)と言うので


顔合わせの飯の席で「レイとシュウか・・・北斗の拳やな※」と言ったら


レイ青年が


「その"件"につきましては、おいおい詳しく教えてください」


ま〜た難しい言い回しをしてきた


「けん」違いではあったが・・・


※北斗の拳に登場する南斗水鳥拳のレイ・南斗白鷲拳のシュウ

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