第595話 タコ違い

とある社長と会食した際、目敏(めざと)く俺の拳(けん)ダコに気付かれたようで


「Tさんは格闘技か何かやってたの?」と聞かれ


親父の影響で日本拳法から始まり最終的にキックで引退しましたと答える


後日、その社長宅にお邪魔させていただく機会があり、応接に通された


奥様がコーヒーをお持ちくださり


「これからもウチの主人を宜しくお願いします」と御挨拶を戴いたので


「いえいえ、それはこちらが御願いさせて頂く事で・・・」と頭を下げると


「それにしてもTさんは体格も良くてお声も低くて日焼けされていて、とても男性的なのですね、失礼ですが私、てっきりTさんは細くて白くておうちに篭(こも)ってらっしゃる方なのかと」


そう仰るので、旦那である社長が


「俺そんなこと一言もいってないじゃないか笑」と突っ込む


「だってあなた、前にTさんが漫画家さんだったみたいな話をされてたから」


漫画家??


「してないしてない笑」


「なさってましたよ前に?『Tさんの手にペンだこがあってなぁ』って」

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