第503話 プチ・神の降りた瞬間

まだ下の娘が幼稚園の頃


公園の砂場で遊ぶ娘を、ベンチでボ〜ッと眺めていると


父親と手を繋いだ5歳くらいの男の子が砂場に近づいてきた


子「テレッテッテレッテッ」

父「ウッ」


マリオのあれを、無限ループのように唱えながらやってくる


周りも何となく微笑みながらそれを見ていたのだが


子はそれ(周囲の笑顔)を「歓迎」と取ったのか


父親の手を振りほどき、近くにいた全くの赤の他人である女性に近づき


「テレッテッテレッテッ」と振ったため


その女性はとっさに「ウッ」と返した


それを周囲のママ連中が「おー!」と囃したため


味をしめた男の子は調子に乗って次の母親に


「テレッテッテレッテッ」

「ウッ」


また次の母親に


「テレッテッテレッテッ」

「ううっ!」


何と次はベンチの俺に走って来たので


「テレッテッテレッテッ」

「ウェィッ!」


サムアップしながらテンションを上げてやった


ただ、もうそろそろ止めとけ〜と思ったのだが、男の子は


次なるターゲットを砂場にいたお爺さんに向けた


タタタタ〜と駆けて行き、お爺さんの顔のすぐ傍で


「テレッテッテレッテッ」と言う


「はっ?」


流れは見ていたが意味の全く分かっていなかったお爺さんが、戸惑いながら


「ぼいんぼい〜ん」と手で巨乳を描きながら返したので


砂場一帯、大爆笑


あんな素晴らしい瞬間は、2度と見ることはないだろう

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る