第427話 武器

地域の自治会が、警察の情報提供をもとに作成した注意喚起のチラシが


不定期でたま~に新聞に挟まれてくる


昨年の話になるが、うちに来ていた上の娘がそれを読んでいて


「はいこれ。色んな人がいるねぇ~」と俺に渡してきた


娘は子供2人(孫娘のRと孫息子のK)に


「あぶない人がいっぱいいるから気をつけるのよ~」と、事件の幾つかを説明している


俺も「◯◯地区・事件簿」と表されたそのチラシを読んでみた


直近2ヶ月で発生した主な事件のカテゴリー別に、発生日時・場所・事件の概要が載っているのだが


カテゴリーとしては「不審電話」「露出」「声かけ」「不審者」の4つに別れており


「露出」事件4件のうち、「◯月◯日(土)午前11時40分頃、◯◯の路上」となっている1件の概要が、以下の通りだった


「通行中の成人女性に対して、下半身を露出する事件が発生しました。犯人は年齢50歳代、身長160センチメートル、中肉、半袖Tシャツ、黒色長ズボン、黒色の杖、首から緑色のタオルを掛けて口からよだれを垂らしている男です。」


それを読み終えた俺が

「まるで『くさったしたい』やな、これ笑」と言いながらその概要を指差し、娘に返すと


孫息子が「しってるひと?」と聞いてきた


「いや、知らないけど似た奴がいるのよ」


「けいさつにいわなきゃ!」


「あ~あのねぇ、本当にはいない」


「いないの?もうにげたの?」


「いや、そうじゃなくてジージが言ってるのは、腐ったキャラクターというか」


「くさったの?しんでるの?」


こうなると孫息子のKくんは少々厄介だ

納得いくまで質問攻めにしてくる


そこで大概、母親である娘は、いいかげんな説明で終わらせようとする


娘「あのねK、昔ジージが『くさったしたい』を倒したの。でも多分、弟がいたのね。またジージが倒すわよ」


Kくん「どこにいるの?」


娘「ん~那覇空港かな?」


するとKくんはソファーに置いた自分の鞄に向かうと、何やら携えて戻ってきた


「じーじ!これつかいなよ!」


遊ぶのに持ってきていた「鬼滅の刃・DX日輪刀」を貸してくれた

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る