第404話 洗車場にて

お客様送迎用のマイクロバスを、洗車しておいてくれないかと若手に頼もうと思っていたが


ちょうど週末に、とある客先から浜辺でのBBQのお誘いを戴き、運転手も兼ねて参加させて頂きますと返答したこともあって


クソ暑い土曜日の真昼間


そのマイクロバスを簡易洗車場まで持ちこんだ


こんな真昼間に誰もおらんだろうと思っていたら既に何組かいて


子どもの姿もちらほら、お父さんと一緒に水遊びに来ているようだ


俺は上半身裸になり


両隣には誰もいないので、ガンガン米軍のFMを流しながら洗車をスタートした


10分ほどたった頃、背後、斜め向かいの数台奥から怒鳴り声が聞こえた


・・・ん?


振り向くと若い兄ちゃんが、どうやら隣の親子(父親と幼稚園児?)を恫喝したようだ


睨みつけたまま動かないので、小さい子供も居ることだし、彼らの方へと歩いていく


「どうかしましたか?」


どちらかというと分の悪そうな、親子の方に向いて声をかける


すると怒鳴ったほうの兄ちゃんが「あっいや、すみません」と俺に頭を下げ


子供連れの父親も俺にペコペコ頭を下げるので、そのまま踵を返し自分の場所へと戻った


数分後


「いい加減にしろよ!!」


また背後で兄ちゃんの怒鳴る声


振り向くと今度は、双方が俺に手を振りながら「何でもないんです」というジェスチャー


何なんだよ?


そこで俺は、少しのあいだ遠目から何気に眺めていて


あのチンピラ然とした兄ちゃんが親子に恫喝を加えようものなら、いつでも飛び出せるようにとスタンバイすることにした


ものの1分で、事は起こった


それまで車の影に隠れていた男の子


スコスコやると大量の水が発射される大きな水鉄砲。


あれを持って兄ちゃんの背後へ忍び寄る


そして背中向けて勢いよくバシュ!バシュ!バシュッ!と発射


怒り顔で振り向いた兄ちゃんの顔めがけ、今度は父親がホースで遠距離放水


「だああ~っっ!!」叫ぶ兄ちゃん


加害者は親子かい(ー_ー;)


それはそれでアカンやろ、と俺が早足で向かいかけた時、兄ちゃんが俺に


「すみません!あの!兄と甥なんで!!」


紛らわしいことするなよ・・・

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