第331話 気持ちは分かります

イオンモールのエスカレーター横で、一緒に買い物に来ていた相手を待っていると


ふいに、ぷらんと垂らしていた左手を何かが掴んだ


引っ込めはしなかったが、うおっ、となって左下を見ると


俺の左手の人差し指から薬指までの三本を、4歳くらいの男の子が、小さな右手でぎゅうーっと握っている


あれれ?きみはだれかな?


と、すぐに後方から「◯◯ちゃん!パパじゃないよ!」と声が掛かる


◯◯ちゃん、と呼ばれた男の子は、ます後方のママを見て、次にパパだと思い込んでいる俺を見上げる


"はっ"と男の子は握った手を離す


そこにママがやってきて「もうすみませ〜ん」俺に詫びる


こんな可愛い間違い、誰1人嫌だなんて思いませんよ( ^ω^ )


「いえいえ〜」笑いながら俺は、ママと男の子に手を振る


ママが「おじちゃんにバイバーイって」と促す


男の子は無言だったが、右手を上げて俺に向け、グーパーグーパーしてくれる


か、可愛い・・・


間違いではあったが、あんな小さな子とあんな若くて綺麗な母親相手に「パパ違い」で絡むとは


おじいちゃん、ではなかったのだから。


いや〜まだまだ若いな俺。


とても気分の良い晴れやかな心持ちで、去っていく2人の背を見送る


そのうち母親がバッグから小さな筒を出し、ポンとフタをあけ


「はいこれ。」中身を男の子に渡した


手ェ拭かすのかい・・・_| ̄|○

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る