第319話 それじゃないから。

事務所に非常用として備蓄していた天然水を


誰一人、その賞味期限が近付いていることに気づかぬまま、箱ごと放置していた


先日ようやく大場くんが3月いっぱいで期限が来ることに気付き、慌てて開封


賞味期限が3月31日となっております。

ご自由にお取りください。

あと76本あります。


そう書いたA4用紙をコーヒーサーバー室の壁に貼り


その下にペットボトルの一部、20本ほどをズラ~ッと並べておいてくれた


それを見たU部長が


「そんなの追っつかないから、手間だけど一本一本コーヒーサーバー用のタンクに放り込んでしまおう」


ということで、箱に残っていたかなりの本数を消費することができ、棚に並べた20本もなくなった


・・・と、ここまでのいきさつを知らなかったのか関心がなかったのか


谷やん(脳筋1号)がふとコーヒーサーバー室に入り


「そんなにあるの?!」


素っ頓狂(すっとんきょう)な声を上げている


その声に釣られた森くん(入社3年目)が「どうしたんですか?」と入っていく


「・・・えっ!そんなにあるんですか!!」


谷やんと同じような声を上げている


谷「20個ほどもって帰ろうかな・・・お前も晩メシに持って帰れば?」


森「無理ですよ!谷さんこれ晩メシにするんですか?」


谷「猿になったつもりで」


森「虫歯になりますよ~?」


何を騒いどるんだ・・・俺もコーヒーサーバー室に入る


賞味期限が3月31日となっております。

ご自由にお取りください。

あと76本あります。


張り紙の下に、開封されたばかりの戴き物の東京バナナが置いてあり


それぞれ数個ずつ手に持って騒いでいるところだった

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