第273話 グリーン車にて
新幹線の、普通車からグリーン車への通り抜けは原則、禁じられているが
芸能人・有名人が乗っているかもしれないと、一般乗客がチラチラ見ながら通ることがある
コロナ前の、とある水曜日の真っ昼間に、新大阪から東京行きのグリーン(8号車)に乗った
車両の真ん中あたり、左窓側D席に座したのだが
その時点で俺以外に8号車に乗り込んだ乗客は居なさそうだった
つまり車両には俺一人の、貸切状態
新幹線が出発する
次駅の京都までは13分程度の所要時間
出発して間もなく、後部車両の普通車から人の入ってくる気配がした
程なく、微かではあるが上擦った声が聞こえてくる
「あっ!」
「うそん?」
「ええ〜っ!」
どうやら女性2人のようだ
この車両に誰か見つけたのか・・・誰かいたっけ?
俺の背後だから様子は伺えないが、明らかに緊張の面持ちで通路を歩いてくる
そして俺の座る列を通過
若い女性2人だ
通過して3歩ほど進んだところで、1人がチョ〜醒めた声で
「ちゃうやん」
そう言って8号車を抜けていった
俺は少し腰を浮かせ、車両を見渡してみた
誰も乗っていない
おれか?
俺のハゲた頭頂部をみて、いったい誰と思ったのだ
温水さんとか?
だんだん腹が立ってきた・・・
しかし京都から乗ってきた外人さん2人が斜め前のAB席に座り
駅で買ったであろう柿の葉寿司を、
柿の葉ごと食べてoh...と顔をしかめていたので
和みました
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