第60話 発端はお前か

某会館の駐車場にて。


俺「俺の5番に誰か車停めてるねんけどね。どこ停めたらええ?」


駐車場係員「あっ、ちょっと確認します。えーと、あ~来客が知らずに停めたみたいで・・・あっ、では7番に停めていただいても宜しいですか?」


俺「7番でええのね、了解」


7番に車を回すとそこは軽自動車スペースだ。一周して再び係員のところまで戻ってくる


俺「あそこ軽自動車用だったよ?」


係「あ、私が確認しましたから大丈夫です、停めていただいて」


俺「あ、そう?ホンマにええのね」


再び車を回して7番に停めようとしていると、その場にやってきた車の窓があき、女性が何か言っている


窓を下げる


女性「そこ、軽自動車用ですよ~!」


俺「いや、私の場所に誰か停めてしまってるから、係の方に聞いたらここ停めて、って言われたので」


女「でも軽自動車用じゃないですか!」


俺「うん、いや、わかってますよ。じゃあ、あのおじさんに聞いてみて?」


係の男性を指差す


女性は俺を不服そうにジーッと見ていたが、係員のほうに車を進めていく


俺が車を降り、建物に向かおうとすると


「じゃあ私の車はどこ停めたらいいんですか?!」熱くなった女性の声が聞こえてくる


う~ん俺も行ったほうがいいかな?


係と、車の女性のほうに歩いていく


俺「あの、俺、退けますよ。貴女の車7番に停めたら?」


係「あっ、こちらの方(女性)は一般の来客様でして、7番は関係者用ですので、あちらの・・・あの角の。はい、線は引いてませんけど。はい、あそこに停めていただけませんか」


女「あんな遠く?」


係「申し訳ありませんが」


女「わたし用事すぐ済むんですよ。この人(俺)も仰ってくれてますし、7番使わせてもらえないでしょうか?」


係「いや、あそこは関係者用ですので」


女「でもあんな、線も何も引いてないところに停めたら、前に前に停められて出れなくなるじゃないですか?!だいたい、軽のスペースが少なすぎません?!」


係「貴女は軽じゃないですよね?」


女「軽ですよ!」


係「いやこの車、軽じゃないですよ」


女「軽だって!」


俺「すみませんこれ、軽じゃなくてハッチバック、普通自動車ですよ」


女性「・・・えっ?」


係「軽自動車じゃないです」


女性「でもウチの主人が軽だって言って」


俺「普通自動車です」


係「ハッチバックです」


俺「アクアです」


女「・・・でもあなたのは軽じゃないんでしょ?」


俺「あれはミニバンです」


女「ミニ?ミニじゃないでしょー!すごく大っきいじゃないですかー?!」


俺「いやあのミニバンのミニっていうのはですね」


女性「・・・あっ出てきた、こっちこっち~!」


建物から出てきた男が駐車場に向かってくる


「どうしたの?・・・ふん。・・・ふん。そりゃお前、皆さんに迷惑かけたらダメだわ。ちょうど俺、帰るからさ、あそこ停めればいいじゃん」


5番に停めたのお前かい。

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