第56話 裏切り

事務所近くにある立駐の2Fに、二台分の駐車スペースを借りている


2階なので階段でもすぐなんだが


先日、駐車場に向かう通りを歩いていると


反対側から谷やん(脳筋社員1号)が、何やら色々詰まったダンボール箱を抱えて歩いてくる


手を振ったのだが、俺に気付いているのかいないのか、スッと駐車場に入っていったので


早足に彼を追いかけ、自動ドアを抜けると


ちょうどエレベーターが来て谷やんが乗り込むところだった


たーにやーんまってまって♪

行っかな〜いで〜♪

おいっ♪


節をつけて大声で乗り込むと既に、先客が5名乗っていた


谷やんはエレベーターの一番手前の隅にいたが、横を向いて他人を装っている


程なく俺は2階で降りたが


谷やんはダンボールを抱えたまま、降りずに上がっていった


「・・・だってあんな大声で歌って入ってきて!めっちゃ恥ずかしかったですよ!」


のちに言い訳された。

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