第51話 文具店

気の緩みと不摂生で体重が100kgを超えていた頃


急用のためカバンも持たずに慌てて出向いた先で


どうしても複数枚の書類に色々と書き込まねばならない事態に陥った


かなりローカルな土地でコンビニも見当たらず、何処かに文具屋は無いかと探していると


小さな商店街の一軒の店先に、週刊誌が並べられているのを発見


おっ、こういう店って意外に文具も置いているのでは?


ガラス越しに覗き込むとビンゴ♪♡

生活雑貨やペンが置かれている


古めかしい引き戸をカラカラと開け、入店


うわ~昭和感満載なレイアウトやな


番台があり、70代くらいのお婆ちゃんが座っている


その奥がおそらく家


さっそくペンを物色・・・まあ、間に合わせなので何でもよくて、数十秒で一本チョイス


ただ少々気になったのは


店に入りペンをチョイスする間、ずっとお婆ちゃんが


「 まあまあ、おやおや ・・・」


俺を眺めて感嘆している


客自体、来るのが珍しいのかな?


そんなことを思いながら番台の上に選んだペンを置く


たかだか二百円もしないペンだが、とてもゆっくりと丁寧に袋に入れてくれるお婆ちゃん


そのままでいいですよ、と言ってあげてもよかったのだが・・・それよりもだ


包装中もたまに俺を見ながら「 まあまあ、ほんとにまあ 」感嘆が続く


俺は、訳がわからんのでずっと作り笑顔


ようやく包装を終え、ペンを俺に手渡しながらお婆ちゃんが口を開く


「 ほんとにまあまあ、どうしたらそんなにお肉つくの? 」


明日から走ります・・・


※同じ時期、歩道ですれ違った老夫婦の会話が背中越しに聞こえてきたことがある


「まぁ~今のお兄さん、どうしてあんな怪獣みたいに歩いてるのかしら?」


内股にします・・・

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