青春ホラーの結末

「続きがあるんだよ」


「――とまあ、パワースポットめぐりをしたジョウマミカノコロウの全員が入院したんだ」


 バイトの犬巻いぬまきは口を挟まずおとなしく店長の話を聞いていた。

 彼が言わなくてもどう思っているのかは顔を見ればわかる。眉間にしわが寄っていて、すぼめた口を左右に動かしている。落ち着きなく動いていた口を止めると店長を見た。


「店長~。聞いたことがあるような話です。

 心霊スポット 心スポ に行って、事故った、祟られた系でしょ?

 まあ、場所がパワースポットだったってことは意外でしたけど。

 でぇ~もぉ~、俺が行きたいのは心霊スポットです。

 どう関係があるんですかぁ~」


 怖い怪談を期待していたのにあまり怖くなかったので抗議を込めてみた。


「普通はここで話が終わるんだろう?」


「えぇ、まぁ……。だいたいそうです。

 あとは『俺のようになりたくなければ、心霊スポット 心スポ めぐりはするなよ』とビシッと言って締めれば完璧ですね~」


 期待外れの話にふてくされて生半可に返事をすると、店長はいつもよりトーンを落とした声でぼそりとこぼした。


「続きがあるんだよ」



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る