『芝さんに告白できなかったら、即死亡』③
「今日は後ろの席に座ろっかな」
しつこい男から解放されたミライは命題をクリアした時のように達成感があった。
100人は入るであろう大きな教室を入ると、多くの人はすでに教室の席についていた。教室の前の入り口から入ったことを後悔した。後ろの席は人気でもうすぐ埋まってしまいそうだ。
「おう、ミライ! 後ろの席に行くんだ。珍しい!」
「お……おう! ヒロか。そうなんだ。この講義は黒板を広く使うから、前に座ったら首が痛いんだよね」
「なるほどね。ところでさ先週、ここの講義に出た? 悪いんだけど、ノート見せてくれないかな?」
ヒロは顔を見合わせれば、話をするなかではある。彼は大抵、男4人のグループで行動している。ヒロの周りの友人もこちらを見た。ミライはヒロの周りの友人を好きではない。出席していたミライは悩んでいた。ヒロの為に時間を使うべきか、後ろの席を早く確保すべきか。
悩んだすえに数少ない友達であるヒロを助ける選択をした。仕方なくヒロの近くの席を確保し、ヒロはミライの隣の席に移動した。
「ありがとう!……あ! たしか芝さんも前回の授業に出てないって言ってたな。……芝さん!」
「おはよう! どうしたの?」
唐突にヒロが呼びかける方向に顔を向けるとミライが探していた芝さんが教室に入ってきた。
芝さんはヒロの声に反応して席の近くまで来た。
「前回の講義出てなくて困ってなかった? ミライが前回のノート見せてくれるって!」
「そうなの! 友達はこの授業受けてなくってさ。諦めてたんだよね。たしか……」
ヒロは後ろを見ながら、話しかける。その内容に興味を持った芝さんはミライの後ろの席に座った。甘い香りがミライにまで届いた。
困った顔をしている芝さんはミライの方にも視線を送っていた。ミライの胸の高鳴りは周りにも聞こえてしまいそうだ。
「ミライだよ!」
「そうそう! ミライさん! 初めましてでこんな事お願いするのごめんなさいなんだけど、もしよかったら私も見せてくれませんか?」
ヒロがすかさずフォローしてくれる。
うるんだ瞳をミライに向けた。即答したかったが一、瞬であるが
「ぜ……全然いいよ。ノート取るの趣味みたいなもんだから」
「ありがとう! 助かります!」
意味が分からない趣味を芝さんに宣言し、ミライは嬉しそうにしている。なんせ初めて交わした言葉だったからだ。
返答に
「いや、後ろの席ってこんなにいいことあるんだな。今度から後ろに座ろうかな」
初めて大学に入ってよかった思っていた時。
「あ、携帯の通知だ。……げ!」
『もう告白終わったか! ええ感じやん! ええ報告お前さんの家で待ってんで!』
「いい気分を台無しにしてくれるな……。ってかどこから見てるんだよ」
そこには査定人からのメッセージが届いた。時刻は11時40分。
ミライは深いため息をついた。
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