おやつの時間
結構時間経ってるなあ…。
1人になった店内で息を吐く。
さっきまでいたお客さんたちは、それぞれ手に持っていた服と雑貨を買っていった。
試着は諦めたようだった。
でもきっと2人ともよく似合うと思う。
なんとなくわかるのだ。お客が服を選ぶように、服も着る人を選ぶ。彼女たちと服たちは、受け入れ合っていた。
こんな風に試着室を独占されたら、普通は一声かけるものだろう。
が、この店は「私の好きなように」がモットーだ。
なんでか、言葉で説明することはできないけれど、お客さんがお客さんの出てくるタイミングまで待ちたい。今はそんな気分なのだ。
店を出るところも、試着室を出るところも見ていないから持ち逃げはしていないだろうし、試着したそうだったお客さん達も無事に購入までしてくれているから、こちらに損はない。
だから出てきたら、何をしていたのか聞いてみよう。そんな好奇心の方が強い。
店に来たのが15:00で、今は16:10。
まだまだ閉店まで時間はある。
今日はおやつもあるし、夜ご飯は遅くてもいい。カウンターでチャイティーを飲みながら、砂糖のいっぱいかかったドーナツを食べる。香辛料の匂いと甘い香りがが店内にふわっ、と広がる。この匂いにつられて出てきたりしないかしら、そんなことを考えて聴きたくなった曲に店内BGMに切り替える。
今日もほんとうにいい日だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます