第8話 地下教室
警官たちは歓喜した。
警察に配備されるパトロールCIORの援軍がこの倉庫に辿り着いたのだ。
蒼い謎のCIORは短銃を向けて5機のパトCIORに足掻くも、POLICEと印字されたシールドの群れに弾かれ、円周上に包囲された。
5枚の盾に押しやられ、身動きの取れない蒼い機体に今にもスタンバトンが差し込まれようとしている。
その時、警官たちは初めてシャッターの奥の静寂に気づき、今までCIOR独特のモータ音や排気音が鳴っていたことに気づいた。
その静寂に耳を澄ますと、代わりに聞こえてきたのは地面の揺らぐ音だった。
ドシン、ドシン、ドシンとこちらに近づいてきている。
「A!A!A!A!」
シャッターはその壁ごと吹き飛んだ。
中から現れた銀色の機体は足元に散らばる小人どもには目もくれず、5機の白黒のCIORに立ち向かい、勢いよくタックルを入れた。
ゼロ諸共、体勢が崩れ、ドミノ倒しのように巨人たちは倒れた。
「ユリカッ!逃げるぞ!」
「うん!!」
ゼロはその跳躍力でCIORの瓦礫を飛び越すと、既に背を向けていたインフィニティの後に続いた。
「しっかし逃げるたってどこへ!?
もう退路はたたれてんだろ!」
周囲からサイレンの音がうるさく響く。
それらはパトカーやらCIORやら警察に付随する全ての物がその音を鳴らしているのだ。
その雑音を貫く音が、そこに確かに突き刺さった。
『来たぞ。助けてやる。』
「なにッ!?」
今、確かに聞こえたよな。
コクピットには【SOUND ONLY】の表示と共に先程までは無かったウィンドウが開いている。
外から叫んでいるのではない!
この機体に指定して音声を送っている!!
「ユリカ!」
「うん!聞こえた!人の声だ!!」
それはたどたどしい日本語で俺達を導いた。
その声を何とか拾いながら俺たちは地下に繋がるトンネルに侵入した。
CIORの脚をもってしても長いと感じる道の先に、その教室はあった。
十数人ほどの老若男女が木製の窓枠からこちらを見るなり筆を置き、中から溢れ出てそれぞれ声を上げた。
「これはなんという名前ですか?」
「凄いA、シオール、カッコイイ!A!」
「日本語、上手。なぜ?」
「おいおい!待て待てなんだお前ら!!」
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