第5話 俺の命の源泉がない・・・。もうだめぽ。

 ひんny・・・ではなく、耳のとがった美人との命を懸けた少年バトル漫画もかくやという高度な情報戦だましあいを終えて、はや二日。俺はおっぱいを吸っては、眠り。おしっこをしては、眠り。うんこをしては眠った。


 うん。ただの赤ん坊だな。


 ただ、途中でとても重要なことに気が付いた。

 これは前世の俺にとっては、生き甲斐、いや、存在そのもの否定するかのような重大なことだった。


 性 欲 が 無 く な っ た ! !


 いや、「何言ってるんだ、赤ん坊なんだから当たり前じゃないか!」と思われるかもしれないが、こっちにとっちゃぁ重大事だ!


 だって、考えてみてくれ。


 昨日まで、毎朝機能していた立派なおちんちん(立派の意味を辞書で調べるべき)があったとする。翌日に目が覚めたら、その股間から生えているエクスカリバー(聖剣にあやまれ)がうんともすんとも言わないどころか、ペティナイフに変身しているのだ。


 まだ、自分の目でマイサンである将来の俺のマグナム(すんごい威力のタマが出る立派な拳銃)は首が据わらない関係でお目見えしていないが、複数のメイドにいじられている感触からするに、存在はする。しかし、反応はしない。


 あれから、複数の女性が俺にお乳をあたえにやってくるのだが、よりどりみどりの美女のおっぱいを前に、俺が感じるのは食欲だけだという残酷な現実だった。


 なんということだ。


 おっぱいを口に含んでいるというのに、俺はぺろぺろなめまわすのではなく、お乳を吸っているだけなのだ!これではただの赤ん坊ではないか!!(いや、ただの赤ん坊)


 そんな感じで、自分のふがいなさに絶望しながらも俺は情報収集を続ける。


 どうやら、俺にお乳をあたえてくれる複数の女性の中で、目が覚めたときにしゃぶったピンク乳首のEカップちゃんが俺の今世でのおかーちゃんらしい。なぜなら、一番着ている服が上等だからだ。しかも、周りのメイドたちから俺の抱っこの仕方なんかを指導されている点を考慮すると、俺が初産だったらしく、抱き方が安定していない。


 一方、それ以外のお乳をくれる女性は、母親より年配が多く、俺を抱っこするのも安定感がある。つまり、自分の子供が別にいて、俺にお乳をあげる仕事をしているのだろう。服装もメイド服ではないが、母親より一段落ちる生地を使っていることからわかる(赤ん坊は触れる洋服の肌触りに敏感なのだ)


 そして、以上のことから分かることは、どうやら新しい人生で俺はどこぞのお坊ちゃんとして生まれた。ということだ。複数の乳母うばがいて、母親は一日に一度会うだけ。俺専用の個室と思われる部屋にはメイド服の女性が必ず一人は常駐し、俺が泣いて合図を出せば、お乳かオムツかを確認してすぐに対処してくれる。


 さて、自分の現在の状況は分かった。


 俺は、どこぞのお坊ちゃんに転生して、なにやらエルフっぽいのやら、獣っぽい耳が生えたメイドなんぞがいる。


 これはワンチャンあるんじゃないか?


 まず、異世界転生の王道として、試してみるべきだろう。


『ステータス』ってやつをさ。

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