第十九話 判別
天歴一五九二年の
「まさか、二人の資質がこれ程までにずば抜けていたとは……」
「あぁ、驚き過ぎて言葉では言い表せないな」
本来、
「次はどんな修行をするんですか?」
俺もグレイも自分の力が着実に上がっているのは自覚している。次がどんな修行なのか、楽しみで仕方なかった。
「二人とも。
すると佐吉さんが修行の次の段階、すなわち
「今から『
「どうやら二人ともピンと来てないみたいだな。佐吉よ。百聞は一見に如かず。まずは手本を見せてやったらどうだ?」
俺達が疑問符を浮かべて言葉が出ない様子を見て、喜之助さんは手本を見せるように言った。そうだな、まずは何をするかを確認しないと……。そう思って、俺が目を大きく開くと、佐吉さんは
「……えっ、形が、どうして?」
すると『いびつな棒』は、まっすぐに変化した。
「私は『
すっげぇ
「ただし、この
そう思っていると、喜之助さんが一つだけ解説を付け加えてきた。どうやら全ての
「そろそろ
一通り説明を終えた所で、俺とグレイは棒に手を伸ばした。自分の
「そうだな。ならば、グレイの
そう思っていると、佐吉さんはグレイにだけ
「いや、クリフ殿。お主は修行をやらなくて良い!」
すると喜之助さんが手を掴んできた。何でだよ。どうして……。俺は不満を露わにし、掴まれた手を振りほどく。
「佐吉さん、喜之助さん。何で修行をやらなくて良いんですか? ちゃんと理由を話して下さい!」
そして修行をさせろと言わんばかりに、俺は
「クリフよ。お前の
しかし俺の訴えは退けられた。戦闘力と
「クリフ殿。佐吉は意地悪で言っているんじゃない。ちゃんと考えがあ――」
「もう良いです!」
言い訳なんか聞きたくない。俺はいじけるように座り込んだ。佐吉さんと喜之助さんは両手を広げ、どうしたもんかと顔を見合わせていたけど、それなら理由くらい教えてくれても良いだろ。
「それではグレイよ。クリフの事は気にせず、お前の
「はい、分かりました!」
そんな俺を気にも留める事なく、佐吉さんはグレイに仙術の指導を始めた。チクショー、何で自分は教えてもらえないんだ。何か理由でもあるのか。意味わかんねぇよ。俺は膨れ顔をしながら胡坐をかき、親友の修行を見守る事しかできなかった。
その後、グレイの
そして一通りグレイへの指導を終えると、佐吉さんと喜之助さんは道場から去っていくのであった。
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