第21話 会議
◇
あくる日、ローガン、エミーリア、ダナン、カースの4人はエミーリアにあてがわれた小屋の中に集まっていた。
「さて、会議を始めるわ」
エミーリアが他の三人を見回して話し合いを始める。
「アタシが魔王となるために、まずは何から始めるべきか……今まではアタシとローガンだけだったけど、人数があつまればそれだけいろいろな意見が出るでしょう?」
エミーリアの言葉に、ダナンが疑問を投げかける。
「今までは何を方針として動いていたんだい?」
「人員……兵の確保が最重要事項よ。何をするにしても、圧倒的に手駒が足りなくてね」
兵の確保。
その戦略になにか引っかかったのか、黙って聞いていたカースが意見を発する。
「兵の確保……か。言わせてもらうが、大所帯になればなるほど、身を隠すのは難しくなる。俺も一応この村の長をしているからな、人数が増える事はリスクにもなりえるんだぜお嬢ちゃん」
多くの部下を従えるカースだからこその発言に、エミーリアはうなずいた。
「なるほど……一理あるわね。じゃあどうしたらいいかしら」
「一人が統率できる人数には限りがある。だから軍は部隊という小規模のグループを使ってそれぞれに兵を率いることのできる統率者を置くんだ」
カースの言葉に、ダナンが関心したようにうなずいた。
「……なるほど、つまりは部隊長になりえる人材の確保から始めるべきだということかな?」
「俺の意見としてはそれがいいと思う。少人数ならこの村で匿えるしな」
「納得のいく意見だと思うけど……お二人はどう思う?」
ダナンの問いに、エミーリアはちらりと隣で控えているローガンに視線を向けた。その視線に気がついたローガンは深く頭を下げる。
「ご随意に」
「……いいわ、その案を採用します。それから、チームを分けようと思うの」
「チームかい?」
「ええ、ダナンとカースたちは主に犯罪者や反政府組織をあたって頂戴。裏の人間は裏の人間の情報網があるでしょう?」
エミーリアの問に、カースはポリポリと頭をかきながら同意する。
「……まあ、そういう情報が全く手に入らねえわけじゃねえな。承知した。で、嬢ちゃんたちはどう動くんだい?」
「アタシとローガンは人間以外の種族を対象にスカウトをするわ。アタシは魔物の言語もわかるしね」
「人間以外……だと?」
「不思議じゃないでしょう?」
「まあ、確かに目指すところは魔王だからな。俺が人間だから、あまりそういう感覚がなかったが……そもそも魔王の軍勢に人間がいること自体稀……か」
人間以外という言葉に驚いたが、そもこれは魔王を目指すための道だ。
人間に仇なす存在の部下に人間種以外の手駒を集めるのは当然と言えるだろう。
「そういうことよ。この村を拠点にして、定期的に状況を報告しあいましょう」
そしてエミーリアは再び三人をぐるりと見回し、ニッコリと微笑んだ。
「みんな、検討を祈るわ」
◇
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