前進か?
実は僕はマッチングアプリを最近始めた。
前に進まなければならないのだ。いや、前に進み
ここで傍点を使ったのは、行為を求めることによって、行為に価値をつけるためだ。
「○○しなければならない」や「○○すべき」という文法はルールを示す。ルールを示すということは、行為を制限するということなのだ。
だから僕は「○○したい」と言う。
こうすることによって、僕は価値に向かって進んでいく意思を感じられるのだ。
これはアクセプタント&コミットメントセラピーと呼ばれる心理療法に基づく考え方であり――
いけない。また脱線するところだった。
とにかく僕は前に進み始めて、マッチングした方と近いうちに会う約束をした。
しかし、これは前に進んだと言えるのだろうか?
苦しみから逃げたとも言えるのではないだろうか?
そんな気持ちで新たな人と関係を気づくことは良いことなのだろうか?
それと、このエッセイは果たして誰に向けられているのかという問題もある。
これは元々、
しかし、これはもはや僕の日記のようになりつつある。
そして、これが君に向けたものでないのなら、これは僕と君たち、すなわち読者のための作品になる。
さらに言えば、これはもはや遺書ではない。
ここだけの話、僕はこの作品を完結させるつもりはなかった。
完結するとしたら君がなくなったときだと考えていた。
もうどうすることもできなくなったとき、僕は君をきれいさっぱり諦めなければならなくなる。
逆に僕が死んだときは、未完の作品になるはずだった。
しかし、この作品は僕の思わぬ方向に向かっている。
明るいほうに向かっているのだ。
僕が新たな出会いを果たしたとき、この作品はどうなる?
完結か? いや、きっとその先で再び闇に落ちるだろう。
君たちに予告しよう。
この作品は近いうちに長期休載に入る。
だがそのうち再び連載されることになるだろう。
さて、ここで僕が君たちに語りかけているということは、この作品はやはり君たちのためのものということになる。
これは僕の予想していなかったことだ。
この先、僕が、そしてこの作品がどこへ向かうのかわからない。
君たちにも予想できない。
人は前進していたとしても前進していると自覚できないし、逆に前進しているつもりでも後退している場合もあるのだ。
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