エピローグ<前編> エリシャの手紙
やっほー。
元気にしてる?
フラウちゃんがいなくて、私はすーーーっごく寂しいよ。
寂しすぎてね、もう、無理。病む。会いたいよ。今すぐフラウちゃんに会いた──
……あ、この話をしたいんじゃなかった。
前の手紙でこっちの様子を知りたがってたでしょ?
だから、今回はそのことについて書くね。
えーと、私とエリオットくんが婚約解消した話はしたっけ?
あのあと、わりとすぐに解消したのよね。
そもそも私とエリオットくんは「フラウちゃん大好き同盟」の仲間であって、お互いに対して特別な気持ちがあったわけじゃないし、親同士は犬猿の仲だし、共同戦線も終わっちゃったし。それでまあ、自然な流れで。
エリオットくんは来年からそっちに留学するみたい。これまで独学でやってきたけど、研究所設立に向けて本格的な勉強がしたいんだって。
すごいよね。あんなふうに一途に何かに打ち込めるのって、ちょっとうらやましいなぁ。
それから……ああ!
この前、パーティーでリオンくんに会ったの!
フレイムローズ家の当主になってからずっと忙しそうだったけど、最近ようやく落ち着いてきたみたい。前よりちょっぴり背が伸びたかな。あと、凛々しくなってて、でも可愛くて、キラキラしてて……ふふふふふっ。
それでね。
「よかったら、僕と踊ってくれませんか?」
……って。
わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!
信じられる?
リオンくんと踊る日が来るなんて。ほんと、夢を見てるみたいだったよ。
どうして私を誘ってくれたんだろ……?
あ、ユリアス様もいたよ。あの人の誕生パーティーだものね。
懐かしいなぁ。一年前はフラウちゃんと踊ったっけ。
今年のユリアス様は、クズリ……じゃなかった、アシュリーさんと踊ったの!
アシュリーさんは会場の隅っこに目立たない感じでいたんだけど、そこにユリアス様が近づいてって「そなたの詩を読んだことがある」って話しかけて。
アシュリーさん、なんだか世界が終わったような顔してたけど……。
ユリアス様がその場にひざまずいて言ったの。
「情熱的で美しい詩だった。そなたの瞳のように。私と……踊ってもらえないだろうか?」
そうしたら、アシュリーさん、泣きだしちゃって。でも、すっごくうれしそうで。
とっても素敵なダンスだったよ。
そうそう。今年はティルトくんも来たんだよ!
フラウちゃんにも見せたかったなぁ。もぉ、ほんとに可愛くて!
あ、でもね……?
ティルトくんってああ見えて、ちょっと危なっかしいというか。
ほら、あの年齢とは思えないほどしっかりしてるでしょ? それでいて紳士だし。すぐ人気者になったのはよかったんだけど……気がついたら、大勢の令嬢が夢中になってて。ティルトくんと踊りたいっていう子が長蛇の列になってたの。並んだ令嬢たちの間で喧嘩が始まっちゃうし。
最終的に、母親としか踊らないってことで一件落着したんだけど。
あのときのニーナさん、すごい迫力だったなぁ……。
将来お嫁さん探しするときが心配だよ……。
フィーちゃんは欠席だったけど、きっとカフラーマ連合国で楽しく過ごしてると思う。
あの事件があって、フィーちゃんのお父さんもいろいろ思うところがあったんだろうなぁ。すぐにゼトくんの被後見を解いて、フィーちゃんとの結婚も認めたもんね。
挙式は秋らしいよ!
カフラーマの結婚式ってどういう感じなんだろ。どんな服を着て行けばいいんだろ……⁉
教えてフラウちゃん!
でも、まずはフラウちゃんの結婚式だね。
戴冠式とセットにするんだって? 別々に盛大にやればいいのに!
まあ、フラウちゃんっぽいと言えばそうだけど。効率的というか……。
そっちに行ってから大変だったもんね。国王様はすぐに亡くなっちゃったし。
けど、フラウちゃんが着いたとき奇跡的に意識が戻ったんでしょ? 最期にフラウちゃんと会えてうれしかったと思う。
そして神鳥が、次の王様にフラウちゃんを選んだ。
……………………うん。
まあ。
当然だよね。
だってフラウちゃんだもん!!!!
それから儀式とか霊祭とかで忙しそうだったけど、これからもっと忙しくなりそうだよね。王様だもんね。あ、女王様か。
でも大丈夫。
フラウちゃんなら、何があっても乗り越えられるよ。
生まれ変わって、さらにもう一度生まれ変わっても、自分の夢を諦めなかったんだもの。
……それに。
今はノイン様がそばにいるもんね?
ふふふ。
ただ、ひとつだけ。これだけは約束してほしい。
私と遊ぶ時間だけは…………絶対絶対絶対絶対!
何が何でも確保して!!!!!!!!!
そうじゃなかったら嫌だから。無理って言っても許さないから!
大好きだよ、フラウちゃん。
結婚式で会えるのをとっても楽しみにしてる!
あなたの大親友エリシャ=カトリアーヌより
帝都から無限の愛をこめて
追伸
パーティーのあと、リオンくんが詩を贈ってくれたんだ。
えっとね、髪に白い羽根……みたいな感じの。とってもきれいな詩!
ねえ、これってどういう意味だと思う?
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