第一章 命運をかけた舞踏会①
「……あ、れ?」
気づいたら、エリスの視界に見慣れた
ゆっくりと起き上がってあたりを見回す。まだ太陽が
エリスは
(まさか誰かが『
エリスは
(イルミナに、イルミナに会いに行かないと……!)
夜着のまま
「うっ、寒い」
きゅっと目を閉じて身を縮こまらせる。秋口の
エリスは両手で
「そこにいるのは
背後から声をかけられ、心臓が
聞き覚えのある
男が立っていた。
(どうしてあなたがここに……!)
エリスを呼び止めたのはクラウィス・バラシオンだった。
彼は先ほどとは違って、黒いローブではなく洗練された
エリスは
(いっちばん顔を合わせたくない人と出会うなんて!)
自分の運の無さに内心で頭を
エリスの目から光が消える。
(……これって部屋から
そもそも処刑からどれくらいの時間が
エリスはちらりとクラウィスの様子をうかがう。
見たところ彼は大剣を持っていないが、礼服のどこかに切れ味の
(彼との
エリスはぐっと足に力を込めると、意を決して口を開く。
「命に
「は?」
エリスは勢い任せに声を張ってクラウィスの意表を
(あ、うそうそうそ、もう追いかけてきた!)
彼は
(このままだと
エリスは
「今すぐ扉を開けなさい!」
第二王女、いや、
扉の先は
部屋の中心のソファに少女が座っていた。日光を浴びて
イルミナはすでに
「エリス?」
(クラウィスさまの
イルミナの
「どうしてここにいますの?」
「別に。その
「あなたが? わたくしに会いに来たというの?」
その
(……ああ本当に腑抜けた顔)
エリスはイルミナの顔に
同じ年の同じ日に生まれたというのに、幼い
(まさか私があなたに
思わずため息のような
「エ、エリス……?」
「? 何よ」
「苦しいわ」
歯切れの悪いイルミナの声を聞いて、エリスは「え?」と
気づいたら、エリスは彼女の
エリスはまだ
(私ったら何をして……しかもイルミナのそんな表情なんて初めて見たわよ!)
そのことに
「ご、ごめんなさい!」
エリスが勢いよくイルミナから離れ、そのまま二歩、三歩と後退すると何かにぶつかった。
(ひぃっ!!)
彼は鋭い視線でエリスを見下ろしていた。そして
(……!?)
ぎょっとしてクラウィスを見つめると、彼は灰色のシャツとベストという恰好で腕を組んでいた。
「……何を
エリスがいぶかしげな声で問うと、クラウィスは
「企むも何も、一国の王女にそんな恰好で出歩かれるわけにはいきませんので」
「恰好?」
エリスは自分の
夜着のままだった。
クラウィスは追い打ちをかけるようにエリスの右手を
「もう
低い声に耳打ちされ、
エリスが顔を真っ青にしてうろたえていると、イルミナが「クラウィス、手を放しなさい」と告げた。
彼は
(……しまった! 専属騎士もこの部屋にいたのね)
そのときエリスはクラウィスの近くに第一王女の専属騎士であるアルフリートが立っていることに気づいた。
まさかずっと見張られていたのか。もしもエリスが一瞬でも殺気を見せれば、彼は壁を
(でも絶体絶命なのにこの
どうも
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