序章 闇と光
エリスは王宮の
「第二王女エリス・アウリア・レストレア。いや、悪徳の
「悪徳の娘……? あはは、
エリスが場にそぐわない
同時にエリスの両手首にはめられた
(──最っ悪)
エリスにかけられた容疑は、横領、
ほかにもここ半年かけてイルミナに
(闇属性の私は
この世界に生まれた者は神々の加護により、一人ひとつの魔法属性を持つ。
一方、イルミナはエリスと同じくらい
だからこそエリスは国民から敬遠され
エリスはそれに嫌気がさして人目を
エリスは
(光属性のあなたが毒で
冷ややかな風がエリスの黒い髪をなびかせる。一週間ほど秋口の冷たい地下牢に閉じ込められていたせいで足裏は赤く
もうたくさんだ。
何度も無実を
手始めに
気が
男は静かにこちらを見下ろしていた。エリスにだけ彼の海のように青い瞳がよく見える。
(クラウィス・バラシオン?)
(どうして死刑
実の妹を手に
「見事な忠誠心ね」
思わず
(何よ、その目)
明確な殺意を浴びせられたのはこれが初めてだったが、わずかに悲しさと
いや、彼がそんな表情を見せるはずがない。エリスは
「いつだって自分が正しいといわんばかりに
するとクラウィスはピクリと
「本気でそう言っているのか?」
エリスが小首を
「お前のせいでイルミナさまは死ぬ。言い残すことはあるか?」
「──」
エリスは
(待って、え?)
今回の処刑はイルミナがエリスのことを王族の
「何を言っているの? そんなの自作自演でしょう?」
「! あの方は今もなお苦しみ続け、今夜が
イルミナは誰からも愛され、レストレア王国初の光属性の王女として一目置かれていた。王位
(はあ!? 死ぬ? あのイルミナが?)
エリスは現実から
(イルミナが私の
「時間だ」
彼はエリスの黒髪に
(いや、死にたくない)
クラウィスは髪を結び終えると、立ち上がるために足に力を込めた。エリスはその
どうしてそう行動したのかわからない。でも何か言わなければ、せめて最期くらい人の役に立たなければ、自分はなんのために生まれてきたのだろう。
「イルミナを殺そうとしたのは私ではないわ……!!」
クラウィスは
「──
大剣がエリスの頭上に
どうしてこんなにも
(
彼女に言いたいことはまだたくさんあったというのに。もう届かないなんて。
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