期末テスト - 100日目 -

 なんか早いなぁ。もう明日期末テスト本番ですか。しかも期末テストということもあり、中間テストよりやる教科が多い。実質やる教科は9教科、でもそこに家庭科と芸術が追加されている。ちなみに家庭科は来週火曜日、芸術は来週月曜日。金曜で終わらないってのが期末テストの嫌なところだ。ちなみに聞きたいんだけど家庭科と芸術って何をテストするの? マジでわからん。

 そして今日はある意味記念日。始業式からちょうど100日目だ。もうそんな経ったの? 早いなぁ。俺見えないから時間の流れとかよく変わんないけどそれにしても早い。始業式やったのが昨日のような感じがする。と、今は感慨に耽ってる場合じゃない。テスト勉強だ。


 今日のグループ分けはこんな感じだ。まず教室組、女性陣8人。ここは昨日と変わらないな。次に佐藤と咲彩、この二人をどうにかしようと昨日作戦を練った。生徒会を言い訳に使う予定だったがこれは予想通り上手くいった。実は昨日まで俺たちは時間差帰宅というものをしていた。なぜか、俺や慎、佐藤は関係ないが咲彩だ。咲彩は何かするたび話題になるから俺たちと帰ろうものならあらぬ噂を立てられる。しかもそれが巡り巡っていつもいる人たちにいったら超めんどくさいことになることは目に見えている。というわけでまず佐藤が昇降口に出て俺と慎が合流。ちょっと行った公園のところで咲彩と合流というこっちもこっちで面倒なことをしていた。だから今日は佐藤と咲彩が二人で時間差帰宅って感じになっている。さて、場は用意した。向こうはどうなっているのか楽しみではあるが今はテストだ。というわけで、俺と慎は二人で仲良く慎の家にレッツゴー。


「こんにちはー」


「あ光ちゃん久しぶりー。元気にしてた?」


「元気っちゃ元気ですよ。ただ明日テストなので精神的には追い詰められてますが」


「光ちゃん。テストくらいで追い詰められるなよな。一般的な高校生は毎回テストやってるんだからよ」


「ここで俺は一般生徒じゃねぇって言うのは間違ってねぇよな?」


「ほら、最後の追い込みやるぞ」


「無視かよ」


「確かこの後かえでちゃんも来るんだよね? かえでちゃんもひっさしぶりだなー」


 瀬戸ママに会うのは・・・あれ? いつ以来だろう。卒業式以来か? でもその時も話してはいなかったから話した時からだとするとあの事件で慎に説得された時以来だな。


「それにしても光ちゃんってやっぱり頭は結構いいんだよなぁ」


「俺今スゲー馬鹿にされたように聞こえたんだが。上のお前から言われると特に」


「これは次のテストで番狂わせが起きそうだな」


「さっきから俺の話聞いてねぇだろ」


「うんうん、感心感心」


 話が全くかみ合っていない。会話じゃないな。どっちもただ一方的に言ってるだけ。もういいよ。とりあえずやろうや。


 そんな時間が経たないうちにインターホンが鳴った。


「あ、あの、その・・・お久しぶりです」


「かえでちゃん! 大きくなったわねぇー! お母さんそっくり!」


「そ、そんなに似てますか?」


「似てる似てる! 髪も似せてるからほんとそっくりよ。特に顔のラインとか」


「ちょっ! あまり触らないでもら———」


「あごめんごめん。さあ入って。慎とお兄ちゃんももういるから」


「お、邪魔します・・・」


「かえでちゃんおかえりー。そんなよそよそしくしなくていいよ」


「そうだぞ。もう何度も来てるじゃねぇか」


「む、昔と今じゃ違うじゃん」


「残念ながら俺にはわからねぇな。声変わったなーってことくらいしか」


「確かにそうだな。でも光ちゃんの思ってるよりみんな変わってるぞ」


「そうよ。光ちゃんもかえでちゃんもすっごく変わったわよ。うんうん、感慨深いわー」


 そうなんかなぁ。その実感が全くないんだけどなぁ。俺のわかることと言えばそれこそさっき言った声変わったことと自分自身でも感じた成長痛くらいだ。だから身長伸びたってこともわかる。でもそれ以外は全然。自分が今どんな顔してるのかもわからない。客観的な意見しか聞けてないし。


「さてと、おしゃべりはこのくらいにして勉強に集中するか」


「はぁ・・・、早くテスト終わってほしいわ」


「弱音を吐くなよ。かえでちゃんに引っぱたかれるぞ」


「私にそんな暇はないのですみません。引っぱたくなら慎さんがやってください。私より強いですから」


「おいかえで。どこで雛語録を身につけた。尾鷲がいたら大爆笑だったぞ今の言動」


「はい光ちゃんこっち向く」


 と言われ無理矢理首を曲げさせられた。はいはいやりますよ。あと二日勉強すればいいしそれくらいならちゃんとやりますよ。家庭科と芸術は・・・もう勉強のしようがないので知らん。


 その後暗くなるまで勉強して・・・外雨降ってる。帰りたくねぇ。


「どうもどうもぉ。今日はありがとうございますぅ」


「いえいえこちらこそ。慎がお世話になってます」


「そんな堅いこと言わないでくださいよぉ。この子らの小さいころからの仲じゃないですかぁ」


「頭撫でるな」「ちょっ! 撫でないで!」


「・・・もしかして二人して今反抗期ですか?」


「そうなんですよぉ。毎日毎日大変で。何度二人から睨まれてるか」


「別に反抗期じゃねぇよ。ただやってることが気にくわねぇだけだ。いっつも先読みしてるような感じっての? それが気にくわねぇんだ」


「私も。お母さんいつも悪だくみしてそうだからなんかやだ」


「ほら見てくださいよぉ。二人して私に辛辣なんですよぉ」


「でも昔からこんな感じだったわよね。今は丸くなった感じかな?」


「まぁ角は取れましたよねぇ。ちなみに慎ちゃんには反抗期あったんですか?」


「うーん・・・どうだったかしら?」


「俺は自覚ないですね。今も昔もこんな感じですから」


「いいなぁ、うちの子らもこんな子だったらよかったのにぃ」


「かえで、帰るぞ」「うん、帰る」


「ちょっ! はぁ・・・、私なんか嫌われるようなことしたかしらぁ」


 世間話とか近況報告とか俺らが聞いても何の得もない。ということで帰宅。どうせ距離近いんだし、今はさっさと家に帰りたい。あと嫌われるようなことだが結構してるぞ。例えば雨の日だろうと迎えに来ないこと。誰でも家にあげること。めっちゃ自分勝手なところ。仮にも親だろ? そんなんでいいのかって思う。

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