期末テスト
期末テスト - 99日目 -
はい、なんか久しぶりに俺が出てきた気がするが今日のやることも今までとそんなに変わらない。テスト勉強。これ以外何もない。もう勉強したくないよー。早く解放されたいよー。
で、そのテスト勉強、いったいどんな感じでやっているのかというと女性陣は仲良く教室に残って勉強中だ。そっちの方は葵に任せてあるから多分問題ない。勘のいいひとが何人かいるが、まぁ葵が何とかしてくれるだろう。
一方の俺たちなんだが
「よし、今日もやるか。光ちゃんもだいぶ仕上がって来てるみたいだしな」
「そうだね。本田さんも最初より全然出来るようになってるからね」
「ああ、本当にありがとう。今日もよろしく頼む」
言いたいことがある。何で佐藤と咲彩がいるんだよ。この二人はこの二人で勉強するんじゃなかったのかよ。期待させといて。
「ヘタレめ・・・」
「さてと、今日光ちゃんがやるのは・・・数学だな」
くそ・・・どっちもどっちだな。いや、咲彩は気づいてなさそうだな。結構抜けてるところあるから。じゃあ佐藤だ、ヘタレ。やり方はいろいろあるだろ。約束取り付けたんだったら。例えば図書館に行って二人で勉強するとか。SAKU-KAYOの家でもいい。どうせ今日はいないだろうし。それなのに・・・何で家に来るんだよ・・・。絶対慎も同じこと思ってるからな。あと、これ葵に言ったら俺がいろいろ言われるじゃねぇか。
とはいえ、4人ここにはいるが実質2グループに分かれているような感じだ。俺と慎、そして佐藤と咲彩、ダブルマンツーマンってところか。言ったかあまり覚えていないが家のリビングにはテーブルが2つある。一つはテレビの前、低めのテーブルで本来だったら座布団とかに座って使うテーブルなのになぜかソファが置かれている。それで何度低いって思ったことか。もう一つはキッチンの真ん前にあるやつで食事するときに使うテーブルだ。こっちは椅子があるから普通に高いテーブルになっている。ああ、ずいぶん前に使ったあのめっちゃ長いテーブルだがあれは今階段下の押し入れに突っ込まれてる。あんなの日常生活をするうえでは邪魔でしかない。そんなテーブルいらねぇよって話だ。で、前者のテーブルは佐藤と咲彩が、後者のテーブルは俺と慎が使っている。俺なんか終始しゃべってないと勉強にならないのに何でこの二人は家にいるのだろうか。絶対勉強の邪魔になるだろ。最初に俺はそう言ったのだが佐藤に邪魔にならないからいいだろ的な感じで押し切られてしまった。
その勉強時間はかえでが帰ってくるまでの間ってことになっている。なのでかえでが帰ってきたら佐藤と咲彩は帰宅だ。まぁこの二人が並んで帰宅するのはいいけどよ。どうせなら勉強も二人でやれよと言いたい。ちなみにかえでも今テスト期間真っ最中なのだがかえでは教室にラストまで残って勉強している。この時期のラストって結構遅いよな。まぁいい。そして二人が帰った後
「おい慎、本当にこれでいいのかよ」
「いやーどうだろうな。俺もこうなるとは思わなかったからな」
「私も同じこと考えました。どうして家なんですか」
「よし! 光ちゃん。明日は別の場所で勉強しよう」
「別の場所ってあてあんのか?」
「あるぞ。久しぶりに家来ないか?」
「あ、それ私も行きたいです。久しぶりにおばさんとも会いたいですし」
「慎の家か・・・わかった。でもあの二人にはなんて言うんだよ」
「うーん、そこなんだよなぁ。どうやってごまかそうか・・・」
「外せない用事があるから・・・とかは?」
「じゃあその外せない用事は? って聞かれるぞ」
「じゃあお兄ちゃんも考えてよ」「考えてるわ」
さりげなくかえでも参加しているがこれは結構大事な問題なんですよね。かえでもこのこと知ってるし。どうせだったら協力してもらった方がいい。
「光ちゃん、明日病院の予定とか入れられるか?」
「そんなことしたら他のやつも心配するだろ。巡り巡って奈々のところまでいったら泣きながら電話されるぞ。俺はそんなのは拒否だ」
「奈々さんのお見舞いは?」
「それも無理だ。絶対あいつらついてくる。それにお見舞いだがどっちにしても今週の金曜に行こうと思ってる。まだ奈々には言ってねぇけどな」
「それ今電話しないとダメじゃん。貸して」
かえでにスマホを取られた。別に明日でもいいのによ。
「はいお兄ちゃん」
渡されたスマホからはコール音がしている。本当にしたのか。
“先輩?”
「ああ、光ちゃん先輩だ」
“久しぶりに声を聞けました。お元気そうでよかったです”
「まぁ確かに元気っちゃ元気だがいろいろと立て込んでてなかなか電話できなかったわ。悪いな」
“いえ、そんなことは。わざわざ私のことを気遣ってくださるだけでも私は嬉しいです”
「そうか、じゃあ俺も電話した甲斐があったってもんだ。で、今日電話したのはだな、今週の金曜お見舞い行ってもいいか?」
“え? でも忙しくないんですか?”
「その日は問題ねぇな。奈々は知ってるか知らねぇけど俺たちは今テスト期間中なんだ。で金曜はテスト2日目だから帰りが早い。じゃあ行くかってことでな。あとはしばらく行けてなかったしな」
“そうですか。ありがとうございます。お待ちしています!”
「ああ、気長に待っててくれ。あとこれは余談なんだが今週の木曜は慎の誕生日だ」
“そうですか。ではプレゼントを準備しないとですね。お世話になりましたし”
「あいつは基本的に何もらっても喜ぶからな。ああでもまじめな話するとあいつは超犬嫌いだ。だからプレゼントはそれ以外がいいかもな」
“はい。ありがとうございます”
「あとそうだ。リハビリと退院の方はどうだ?」
“リハビリも順調です。退院の日は・・・金曜日までの秘密にしておきます。ですので絶対来てくださいね”
「ああ、わかった。じゃあこんくらいだから。金曜日また会おうな」
“はい、待ってますね!”
そして電話が切れた。何だろうか、奈々ってあんなあざとかったか? 特に最後の方とか。耐性の低い男子生徒だったら殺せるレベルの言葉だったな。まぁとりあえず金曜日行くことが決まったってことで
「光ちゃん。俺のいる前で誕生日の話するなよな」
「別にいいじゃねぇか。お前だって絶対何かくるって思ってただろ。経験則で」
「まぁな。光ちゃんが言ってなくても他の誰かが言ってそうだし。かえでちゃんとか」
「わわわ私は言ってませんよ!」
「俺以外で誕生日知ってるのかえでくらいじゃねぇか。バレバレなんだよ」
もうわかってるとは思うがこの後かえでから一発食らいました。まぁ他の人もそれなりの準備をしているのだと思うがあまり期待されても困るんだよな。あとは俺と慎の仲だ。別に言っても問題ないだろ。もう何かくるってわかっててあらかじめ言っておく。さて、これにはどんな意図があるだろうか。慎にはそこまでのことはわかってなさそうだ。これは後でかえでと協議しよう。
「で、あの二人にどう言い訳するか決まったか?」
「決まったぞ。生徒会を言い訳に使う」
「なるほどね。確かに生徒会だったら慎や協力してる葵もいるし俺も半ば生徒会みたいなもんだから口実には使えるな」
「え? え⁉ お兄ちゃんって生徒会入ってたの⁉」
「正確には違うぞ。役員でもないのに生徒会にこき使われてるかわいそうなやつだ」
「かわいそうって自分で言うか?」
「かわいそうだろ。やりたくもねぇことやらされて。それも暇だからって理由で」
「現に暇じゃんよ」
「お兄ちゃんが生徒会・・・信じられない・・・」
「おいかえで。俺に対する評価低すぎねぇか?」
「だって生徒会なんて似合わなすぎるし」
「確かに。わからなくもないな」
「じゃあ今すぐにでも辞めさせろ。そうじゃなかったら辞表出すわ」
「残念。辞表を出したところで破り捨てられるのが目に見えてるからな」
ほら、俺やりたくないのにこうやって縛り付けられてるんだよ。もう泣きたい。
「さてと、俺も帰るか。じゃあ明日、ちゃんと合わせとけよ。かえでちゃんもまたね」
「へいへい」「はい。また」
小学校の頃さんざんやり合った腹いせか? 最近慎が俺を色んな所で酷使してる気がする。しかも慎だけならまだいいが葵と共謀することも多くなってきた。手組むな。揃いも揃って俺をこき使いやがって。まぁでもいじめではないからまだいいか。別に作業自体ただ大変なだけだし。
「で? 何で誕生日のこと教えたの? サプライズ台無しじゃん」
ああそうだ、それがあった。
「それか、俺に考えがある」
「なんか嫌な感じしかしないんだけど」
「嫌な感じって言うなよ。俺が考えたのはサプライズ×2作戦だ」
「何それ?」
「今俺は慎に誕生日何かあるってことを言ったよな?」「うん」
「それなのに何もなかったらそう思う?」「あれって思う」
「それを利用する。その日最後まで何もしない。向こうが言ってきても何も準備してないことを貫く。それで最後帰るときにみんなでパーっとやるってことだ」
「慎さんだったらその辺わかってるんじゃないの?」
「まぁそうだろうな。あいつめちゃくちゃ勘が鋭いからな。だがいくらあいつと言えど予測できねぇことはある。それがプレゼントだ」
「プレゼント・・・何するの?」
「今までの感じだとここで勉強してただろ。で適当な時間になったらあいつらに来てもらう。大半は普通のプレゼントだがそこに一つとんでもないものが混ざっていたとしたら」
「お兄ちゃん・・・まさか・・・」
「ふっふっふ、彩夏犬の出動だ」「うわー・・・」
「これこそサプライズ×2だ。誕生日なのに何も来ないサプライズと彩夏犬が来るサプライズ・・・、楽しみになってきた」
「どうなっても知らないから」
というわけで木曜日は彩夏犬を家に呼ぶという手間が加わった。実はもう一つサプライズがあるのだがそっちはココに全任せしてある。それはココの専門分野だから。
さてと、あと少し勉強頑張るか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます