コール
コール - 68日目 -
———、———、———プツッ
“先輩。お久しぶりです”
「よぉ、元気か・・・て入院してるから元気ではねぇか」
“いえいえ。私は大丈夫です。少し、不安ではありますけど”
「まぁそうだよなぁ。・・・明日か」
“はい、明日です”
「そんじゃ俺から一つ、不安を取り除く話題を提供しよう。咲彩のことだ」
“あ、そうです。どうなったんですか?”
「無事に解決した。それも俺に予想を裏切る形でな」
“裏切る? ですか?”
「ああ、咲彩自身あの取り巻きのことは良く思っていなかったらしい。それを雛や葵が言ったんだが。まぁ言い方がきつかったんだろう。相手方が泣くだ、逆ギレするだしてな。で、それはよくねぇってことで咲彩がこの際友達になろうってことで決着したんだと」
“友達ですか。すごいです。ついさっきまで仲悪かった人とそんな提案を持ち出すなんて”
「だろ。俺も驚いたわ。てっきり完膚なきまでに叩きのめして二度と近づけさせねぇようにするんだと思ったが」
“でもよかったです。解決して。私も安心しました”
「そうか。それはなによりだ。ああ、そうだ。さっき俺が言ったことで何か疑問に思ったことはなかったか」
“疑問? いいえ、先輩の言うことに疑問を持つことなど私はありません!”
「それはスゲーありがたいんだがそうじゃねぇ。ああもう言うわ。呼び方についてだ」
“呼び方・・・はっ! 確かにそうです!”
「咲彩のことは知っていると思うが、それに便乗して他のやつも下の名前で呼べだとかあだ名で呼べだとか言ってきたんだよ。そういうわけで、七瀬」
“はい!”
「お前は俺に何て呼ばれたいか?」
“え、ちょっ、すみません! ちょっと考えさせてください。七瀬・・・奈々・・・うーん・・・”
「別にそんな考えることねぇぞ。普通に呼ばれたいもので・・・おーい、聞いてるかー」
“な、奈々って・・・呼んでもらえますか?”
「わかった。奈々」
“くぅー! 先輩に奈々って呼ばれちゃった!”
「おーい、あんまり騒ぐと心臓に響くぞー」
“はぁ・・・はぁ・・・、ふぅー。すみません、取り乱しました。その、ありがとうございます”
「別に感謝されるようなことしてねぇぞ」
“いえ、私を名前で呼んでくれたこともそうですが、その・・・皆さん私のことを応援してくださったので”
「当たり前だろ。これから手術するってやつを応援しねぇってやつの方がどうかしてる。まぁまたにはなるが、頑張れよ」
“はい! 頑張ります!”
「よし、じゃああとは終わってからだな。お見舞い行くからいつから行けるか連絡してくれ。まぁさすがにあの人数で行くのは迷惑だから何回かに分けて行くことにはなると思うが」
“はい! 終わったら先輩に一番に連絡します!”
「別に一番じゃなくていい。そんで、俺から言いてぇことは以上だが何かあるか?」
“いえ、先輩の声が聞けただけでも満足です! ありがとうございます! ・・・先輩、最後に聞いていいですか?”
「何だ?」
“先輩は・・・その・・・わ、私の事・・・好きですか?”
「あー、これ言わなくちゃダメか?」
“言ってください”
「すぅー、はぁー。好きだぞ。でも何だろうなぁ、奈々は後輩とか親友ってよりも妹って感じがするんだよなぁ。それもあってだ。ああ今のはかえでに言うなよ。俺が病院送りになるから」
“妹! 昇格しました!”
「それ昇格って言うのか?」
“ただの後輩から親友を経て今は妹です。私からしてみれば立派な昇格です”
「まぁいいや。んでだ、俺から一つ。まぁこれはあの約束の参考にでもしてくれ。妹だってんなら多少なりとも無理難題に答えてやろうとも思うってわけだ」
“わかりました。入院期間いっぱい使って考えます!”
「そうか、そろそろ時間か。じゃあな。・・・手術、頑張れよ」
“はい! 頑張ります!”
ブツッ———、———、———
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます