第74話 部屋のあれこれ……の夢を見る
薪の目途がついた私は、今度はログハウスの中をなんとかしなくては、と思った。
特に、ここ数日、雨が続いているせいもあって、外に出ることもない。ホワイトウルフたちも、自分たちの居場所にいるのか、顔を見せにも来ない。
ただ、グッと気温が下がってきているようで、いつ雪に変わるかわからないから、もう少し部屋の中の保温を考えなくちゃ、と思っていた。
まずは、カーテン。
結局、だいたいの長さしかわからなかったので、カーテンレールは買わなかった。代わりに、カーテンワイヤーなるものを買った。一応、窓は3つ(大2つ、丸小1つ)あるけれど、大きい方の2つ分(どちらもサイズは同じ)用のを用意した。
カーテンの生地も、安いのを手芸コーナーで買い込んできた。安いといっても、薄っぺらいのではない。ちゃんと厚めの生地を選んだ。一応、周囲を手縫いで縫って、カーテンクリップで下げれば出来上がり。
夜、カーテンしているだけで、だいぶ保温効果が違う気がする。
外は雨のせいで、薄暗い。
そして板張りになっている床。
やっぱり、底冷えするので、ここは丸いクリーム色のラグを買ってきてあったのを敷いてある。ミニテーブルを置いてもいい感じだ。
あとはクッションをいくつか欲しいところだけれど、すっかり買い忘れてる。これも手作りしなきゃ……いや、問題はクッションの中身がない。
「……最悪、枯れ草とか?」
某アルプスに住む少女は藁をベッドにしていたし。
……いやぁ、ないわ~。
むしろ、ゴワゴワだし。体重かけたら、確実に潰れる。薄くなって、座布団になっちゃう。
……やっぱり、ないわ~。
外はしとしとと雨音が聞こえる。
私は半纏を羽織り、暖炉の火をぼーっと見つめながら、考える。
それ以外に気になるのは部屋の灯り。一応、ミニテーブルにあるLEDライトがあるにはあるが、ちょっと味気ない。そして、この部屋を明るくするには、光量が足りない。
「ロウソクとか、ランタンとかにする? いや、ランタンはないか……ロウソクは」
防災用の白いのが何本か。これは、万が一のためにも使えない。
よくファンタジーなんかで、蜜蝋使って蝋燭づくり~♪ なんていうのがあるけれど、今の季節や、不器用な私には出来そうにもない。
「うん、春になったら、色々買いに行こう……後は」
ぐるりと周囲を見回す。
本当に、まだ何もない部屋。剝き出しの木の壁。
「パッチワークのタペストリーとか、作ってみようかなぁ」
単純なデザインでいい。ただ四角を縫い合わせて行くだけ。
それに毛糸も買ってきてある。マフラーくらいは編めるんじゃないか。
どうせ、時間はいくらでもあるんだ。
「そのためにも……もうちょっと、部屋の灯りをなんとかしなきゃかなぁ」
何せ、薄暗い。夜になったら余計に。
「……いや、夜はさっさと寝ろってことか」
そう思ったら、笑ってしまった。
あまりにも現代社会の明るさに慣れ過ぎていた。ここは、異世界。焦ることはない。昼間、外に出ない時に、コツコツと作ればいいじゃない。
「よーし、それじゃ、まずはクッションカバー、挑戦してみよっかなぁ」
私は立ち上がると、2階にある倉庫部屋に向かった。
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