第45話 にわとりを飼いたい(2)

 ホームセンターについて、すぐ、木材売り場に行った。一応、こういうところにサンプルになりそうな物を置いてあるかな、と思ったのだ。

 実際、何パターンかの柵は置いてあったけれど。


「やっぱり、いいお値段するのね」


 これだったら、頑張って伐採して『タテルクン』のメニューにある『柵』を選んだ方が安上り……いや、無料だ。面倒なのは一回に作れる横の長さが、3mまで。あの敷地全体に、となると、何回やらなきゃいけないんだか。


「だけど、木目そのままなんだよねぇ」


 実際、『タテルクン』で建てた小屋は、元の木目そのままだ。それも悪くはないんだけれど……と思いながら、ニスなどの置いてある場所に行く。


「こういう落ち着いた色合いとか、いいと思うんだよなぁ」


 ダークブラウンのニスに心惹かれる私。ハーブとかが植わっているヨーロピアンなお庭の風景を思い浮かべる。いいなぁ、あんなだったら。


「……そういえば、小屋のコンクリバージョンは、一度自分で作ったから、できたのよね」


 であれば。一度『タテルクン』で柵を作ってから、私がニスを塗ったら。


「同じのが出来るんじゃない?」


 そう気づいたら、ニスだけ20缶も買ってしまった。

 それにガーデンライトも3箱。キャンプ地だけでなく、トンネルからの道にも刺しておこうと思ったのだ。暗がりを運転するのは、やっぱり怖いし。

 山盛りのカートのカゴの中に目を向ける。来月のカードの明細を見るのが怖くなったけれど、初期投資、初期投資、と念仏のように心の中で唱えて、自分を誤魔化した。




 管理小屋に行った日から4日後。

 キャンプ地の周囲には立派なウッドフェンスが出来上がった。

 途中、木材が足りなくなったり、ニスが足りないなんてこともあったけれど、なんとか出入り口部分(トンネル方向と湧き水方向)を除き、囲うことが出来た。

 私の思惑通り、一度原型を作ってしまえばメニューには追加されるようで、木材とニスがあればちゃんと作ることが出来た(途中、材料が足りないとエラーメッセージみたいなのが出て作れなかったのだ)。

 背の高さは2メートルくらいだろうか。鶏を小屋から出しても逃げられる隙間はない。

 ガーデンライトもしっかりついている。まだ夜間を車で走ってはいないけれど、キャンプ地から見た感じ、けっこう明るい感じに見えた。


「後は、門かなぁ」


 今は、そのままの状態なので通り抜けが出来てしまう。

 一応、門もメニューにはあるけれど、今は木材が足りない。これは覚悟してもう少し山の奥までいかないといけないかもしれない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る