第41話 小屋と排水とログハウス

 2つ目の小屋を建て終える頃。

 すっかり周囲の木々は赤や黄色に紅葉し始めていた。

 昼間もすでにTシャツだけでは、肌寒くなり、長袖のデニム生地のシャツを羽織るようになった。


 1つ目に作った小屋は、車のガレージとなり、2つ目は、DIYで頑張って床をコンクリートで敷き詰めて、荷物置き場となった。素人の手なので、綺麗に平らには出来なかったけれど、自分なりにまぁまぁの出来ではないかと思う。

 管理小屋に預かってもらっていた荷物も引き揚げてきたし、クーラーボックスなどの食料も置いておける。ちゃんと荷物置き場として機能しはじめている。

 面白いことに、このコンクリートの床、『タテルクン』のメニューに追加されてしまったのだ。土バージョンとコンクリートバージョンの2種類。KPはコンクリートの方が若干高め。成長するアプリ、凄すぎる。正直、もう1つ小屋を建てるかは微妙だけれど、コンクリートの苦労を思うと、楽になるのは助かる。


 ホームセンターにコンクリートの材料を買いに行ったとき、ついでにU字溝も見てきた。ちょっと思っていたよりも値段がして、これは無理だ、と思った。そもそも、石でできてるやつは重すぎて、運ぶのは無理(キャンプ地についたら『収納』できるけど)だった。

 その代わりに、塩ビの排水管を買ってきた。お値段も手頃だったし、軽い。水の流れは見えなくなるけれど、人工池からの水の排水をするには、これで十分だった。

 人工池の周囲には石を積むことにした。本当はレンガとかでお洒落な感じにしたかったけれど、レンガは水が浸み込みやすい、と聞いて諦めた。


 管理小屋に行った時、稲荷さんに、KPの変な増加のことを聞いてみた。

 あのキャンプ地に精霊たちが住みつき始めているらしい、と教えてくれた。多くの精霊たちが住みつくことで、KPが自動で増えていくのだとか。


 ――何それ、おいしすぎる。


 私の目には、全然見えないから、いるのかわからないんだけど、KPの増加が彼らのおかげだというのなら、そこは感謝せねば。私一人じゃ、あんなに増えなかった。

 なので、彼らが住みやすいように、メンテナンスに力を入れようと、心に誓った。


 次にいよいよログハウス、と思ったのだけれど、木材集めがなかなか苦労していたりする。

 キャンプ地周辺の木を伐採してきていたのだが、間伐してもよさそうな木々は切りつくしてしまった。キャンプ地を拡大させてもいいかもしれないけど、今でも十分広い。下手に広げるほうが……ちょっと寂しいかなって。

 もうちょっと奥地に行ければ、立派な木々もあるのだろうけれど、イグノス様たちが言っていた獣の存在が、不安要素としてあって躊躇している。

 トイレ・風呂なしのログハウスに妥協してしまおうか、とも悩んだ。これだと、少しだけ木材を抑えられるようなのだ。しかし、実際にログハウスで生活し始めたとして、夜間にわざわざ外に出て、というのは、ちょっとな、と思うわけで。


 一応、溜め込んでいた木材は、枝払いもせずに、キャンプ地の端の方に転がしてある。

 腐る前に、ちゃんと使ってしまいたいとは思っている。

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