第29話 戦利品を確認しよう

 役所に行った後、ホームセンターに寄ったら、ほぼ一日そこで過ごしてしまった。買物ついでに買い食いも。大きな焼き鳥を頬張りながら、ビール飲みたい、とか思ってしまった。車で来てるから、飲めなかったけど。

 キャンプ地に戻ってきた頃には日が落ちてて、慌ててLEDのランタンを点けた。


 自分で使える使えないべつに、面白そうな道具がいっぱいあった。あれもこれもと欲しくなったけれど、自分にそんな余裕があるわけでもない。


「でも、初期投資は大事だしね」


 ……そう言い訳して、色々買いあさってしまった。


 テントの前に、グリーンのビニールシートを広げて戦利品を並べていく。

 まずは、蛇口付きのポリタンクを2つ。2リットルのペットボトルも箱買いしてきたけれど、これを使い切ったら、キャンプ場で水をくんでくるつもり。

 それと、工具セット。今までの生活じゃ、100均で買った小型のドライバーのセットくらいしか持ってなかった。そもそも、ここじゃ使い道がないし。

 それに、小型の電動ノコギリ。先々、DIYをするようになったら、使うだろうな、と。大きいノコギリで木を切るのも考えなかったわけではないけれど、それこそ『ヒロゲルクン』を利用するほうが現実的な気がしたのだ。

 ……いつになったら使えるかはわからないけど。

 そして元々買うつもりだった電動の草刈り機。当然、充電するためのポータブル電源も。車からでも充電できるんだけど……。


「買っちゃったんだよねぇ。ソーラーパネル」


 ソーラーパネルといっても、家の屋根につけるようなものじゃない。

 折り畳んで持ち運べるタイプで、キャンプでよく使われるっていうヤツを買ってみた。天気が悪い日とかにはしまえるわけだし、劣化も抑えられるんじゃないかと。

 

「まぁ、大型冷蔵庫みたいなのは使えないだろうけど」


 そもそも、まだ、そんなのを置ける場所はないし。そういえば、ポータブルの冷蔵庫も売ってたな。でも、所詮、キャンプで使えるだけの少量しか入れておけないから、保留にしたのだ。


「それと、これこれ」


 500mlのペットボトルが入りそうな大きさの箱。ガーデンソーラーライト。細長い杭のようなタイプのものが12本入り。

 夜になると、テントの周囲しか明かりがないものだから、夜にトイレに行くのが怖かったのだ。手元にLEDのランタンを持ってしまうと、真っ暗だと戻る先もわからない。月明かりがあればマシだけど、曇りや月が出ていなかったら最悪だ。


「明日さっそくぶっ刺してみよう~」


 他にも、買いたいものはいくらでもあったけれど、銀行の残高を考えるとシビアにもなる。とりあえず、全部カードで買ってしまった。今まで、車や山と、それなりの金額のものを買ってはいるけれど、目の前に山と積んだ物量を見ると、金を使ってしまった、という実感がわいて、ちょっとだけ胸が痛い。

 とりあえず、祖父母が残してくれたお金は、ギリギリまで使わないでおきたいし。

 ビニールシートに広げた物を片づけると、私は気分よく風呂に入りにいったのだった。 

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