第25話 初めてのアプリ操作(2)
風呂に入り、いい気分でテントに戻る私。あとは寝るだけ、と思ったところで思い出す。
「『収納』アプリ、ダウンロードしてないじゃん!」
簡易トイレと風呂小屋を作っても、まだ1020KP残っている。これなら『収納』アプリもまだいけるはず。
「ぽちっとな」
前から言ってみたかったので呟いてみる。一人だったから、誰も聞いてないし。
すると数秒もしないうちに、タブレットの画面に『収納』とだけ書かれたオレンジ色のアイコンが現れた。
それを軽くタップすると、画面に何やら一覧表が出てきた。
「うん、わかってた」
一覧表、といいながら、物の名前はいっさいない。からっぽ、ということである。
そして容量が、1㎥。
もう一度言おう。1㎥だ。
遠い目になる。
「倉庫の荷物、入れられないじゃんっ!」
これ、容量は増やせないのかな。必死にヘルプみたいなのを探してみた。
結論を言えば、増やせる。しかし。
「ここでもKPなのかよー!」
イグノス様、厳しいですっ! 厳しいですよっ!
「もう! 伐採とかじゃ、全然、貯められそうもないじゃん! 他になんか増やす方法とかないの?」
そして、見つけたのだ。『収納』に入れたものを廃棄すると、物次第でKPに還元されるらしいのだ!
「え、じゃあ、さっきのカップラーメンとか」
ビニール袋に入れておいた食べ終えたカップラーメンの入れ物を収納してみる。
「おおお」
画像付きで入ってることに感動。その画像に触れると、下に『廃棄』『分解』『合成』と選択肢が現れた。ただし、カップラーメンの入れ物は『廃棄』しかできないみたいだ。私が『廃棄』のボタンを押すと。
『5KP獲得しました』
「……すごい」
もしかして、これでごみ捨てとか楽になる?
「……あー! 粗大ごみ、あっちで捨てなきゃよかったー!」
それこそ、家電とかお金じゃなくて、『収納』で『廃棄』してたら!
「もったいないことしたぁぁぁぁっ」
頭を抱えてしゃがみこんだ私は、ふと気が付いた。
「……もしかして、お金も『廃棄』したら」
慌てて財布を取り出して、1円玉を取り出した。10円や100円でないところが、自分でもみみっちい気はするが、念のため、である。
「さて『収納』して……うん、入った。で、『廃棄』は……出来ないのかぁぁぁぁっ」
はい、できませんでした。
その代わり、『分解』だけが利用可能状態になっている。これ、金属の状態に戻せるってこと? 1円だとアルミニウムだっけ。
「……アルミニウムにして、何に使うのよ」
それも1円玉程度じゃ、指先程度の量にしかならないし。
……とりあえず、お金はKPにはならないってことだけは、理解したのだった。
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