第17話 クラスのギャルは彼氏を取られないために頑張る

「あ、ねぇねぇ! そいえば羽衣ちゃんはなんでいっちゃんを好きになったの? 告白されたってことは、どうしてなのかも聞いたんじゃないの? だって二人が話すようになったのって最近だよね?」



 げ、やっぱりそこは気になるよなぁ。嘘は付かないでめんどくさい部分は省いて上手く伝えたんだけど無理だったか。

 う〜ん、ここは変にはぐらかすより、ちゃんと言った方が良さそうだな。何故か莉々香は、俺が何かを誤魔化そうとしているのがすぐわかるらしいし。この前も夕飯に出てきた嫌いなナスを、おかわりするフリをしてこっそり鍋に戻したのすぐバレたもんな。



「あ〜。なんかな? 前に俺、男に絡まれてる女の子のこと助けた事があるんだよ。っても俺は相手が久我さんだなんて気づいてなかったんだけどな。たまたま偶然目の前で困ってそうだからちょっと手助けしただけだったし。まぁ、それでその時に好きになってくれたらしいぞ? よくわからないだろ?」


「いっちゃんのバカー! アホー! 主人公ー!」



 いや、バカとかアホならわかるけど主人公ってなんだよ。主人公って。



「よくわからないなんてないよ!? むしろよくわかっちゃって、わかりすぎちゃうくらいだよ!?」


「な、なんで!?」


「だって……【助けてくれた人が実は同じクラスの男子でした】なんて、女の子が憧れるシチュエーションランキングに入ってるんだから! んもーっ! 何してるのいっちゃ〜ん!! あ、でもそこで助けないいっちゃんは嫌! その話聞いて私も惚れ直しちゃった♪」



 どっちだよ。



「こ、これはちょっと気合い入れないとダメかも……。今まではいっちゃんに近付く女の子なんて私しかいなかったから安心してたけど、羽衣ちゃん可愛いから油断出来ないや。それにおっぱいだって本当は私より大きいし……」


「へ?」



 まぁ、知ってるけど。てゆーか知ってしまったけど。



「あ、そっか。男子は知らないんだもんね。羽衣ちゃん普段は隠してるけど、クラスで一番胸おっきいんだよ? 次は私かな」



 あ、やっぱり一番だったか。確かに凄かったもんな……。


 放課後の光景を少し思い出していると、何故か俺の背中に張り付く莉々香。



「……なにしてるんだ?」


「ううっ……羽衣ちゃんの胸が大きいこと教えたらボーッとしてるからジェラ嫉妬。二番目に大きいのはは私なんだからね? 多分ワンサイズしか変わらないんだからね? ほらほら! 触られるのは恥ずかしいけど、押し付けるのは平気だもん!」




 そう言ってくっついたり離れたり。その度にフニョンフニョンと莉々香の胸の感触が俺の背中に伝わる。


 やめろ。背中に何度も押し付けてくるのはやめろ。理性が飛ぶ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る