第18話 クラスの静かな子は本気を出してくる
久我さんの『何でもする宣言』から一週間が経った。
てっきり翌日から何かしてくると思って警戒していたけどそんなことはなく、今までと変わらない感じで接してきてくれたのには助かった。
一応、莉々香にも久我さんにそう言われたことは伝えてある。だから莉々香もチラチラとこっちを見ていたようだけど、普段と変わりない久我さんの様子に安心したのか、徐々に安心したみたいでこっちを窺うことも減っていった。
そのまま休みを跨いで月曜日。今日から夏服解禁。そこで俺たちの安心は一気に吹き飛ぶ事になる。
「おはよ。真峠くん」
朝、いつも通りに一人で席に座り、スマホを弄っていると後ろから久我さんの声と共に教室にざわめきが走る。何事かと思って後ろを振り向けば、そのざわめきの理由がわかった。
「あ、おはよう久我さ……っ!?」
俺の視界を埋めるのは夏服になった久我さんの姿。それだけだったらこんなに驚いたりしない。俺が驚いた理由は、とある一点だ。
「夏服どうですか? 似合ってますか?」
「え、あ、似合ってるとは思うけど……えっと……」
「良かった♪」
そう問いかけてきて俺の返事を聞くと久我さんは両手で「むんっ!」とガッツポーズ。その動きのせいで激しく上下に揺れたあとにその腕に挟まれて潰れる胸。先週までは封印されていたはずの久我さんの胸は、その封印が解かれていた。
え? あれ? 確か恥ずかしいからって小さく見せてるって言ってたよな? だけど今はまるで……
そんな事を考えていると久我さんは俺に少し近付き、俺にだけ聞こえるような声で囁いた。
「私、胸の大きさを隠すのやめました。今日からはちゃんとサイズにあったブラを付けてきたんです。他の男子に見られるのは恥ずかしいですけど、真峠君はいくらでも見ていいですからね? それと……ほら、見てください」
久我さんは着ていたベストを少しズラして胸元を見せてくる。するとそこでは、大きさの暴力によって押し上げられすぎて張り裂けそうになったブラウスに、下着の柄がくっきりと浮かび上がっていた。なんなら色までわかるくらいに。
「ちょっ! 久我さん!?」
「本当は透け防止にキャミソールとか着てくるんですけど、今日はやめちゃいました。ちゃんと模様とか色、透けて見えますよね? 今日はピンクの花柄なんです。私のサイズだと中々可愛いのがなくて、頑張って探したんですよ? ちなみに……ここ、フリルも付いてるんですよ?」
そう言って久我さんが軽くボタンに指をかけると、まるで弾き飛ぶように胸元が開いてその隙間から見えるピンクの下着。そしてその下着の谷間付近に細かく装飾のされたフリルの数々。
それが見えたのは一瞬の事で、久我さんはすぐにボタンを留めた。
「この前思ったんですけど、真峠君って彼女さんがいるのに、あまり女の子に慣れてない感じですよね? てっきりそういうことをたくさんして慣れてるかと思ってたんですけど、もしかして実は何もさせて貰えないんじゃないですか?」
「なっ!?」
「やっぱり……。ふふっ、私だったら好きな人が望むなら恥ずかしくても頑張っちゃいますけど……彼女さんはそうじゃないみたいですね? っと、そろそろ予鈴鳴りますね」
そんな事を言いながら時計を見ると、まるで何事もなかったかのように自分の席に向かう久我さん。
地味な見た目なのに他の追随を許さないその胸部とのあまりのアンバランスさに、クラスの男子達はチラチラとその姿を見ているのがわかる。なにせ歩くだけでも揺れているからな。男子だけじゃなくて女子もだ。数人の友達らしい子が久我さんの元に駆け寄って何かを話しているけど、なにを話しているのかはここからじゃ聞こえない。だけど俺の方を何度かチラ見していた。いったいなにを話してるんだ?
それにさっきの久我さんの言葉……なんでわかるんだ? 俺と莉々香が何の進展もないことに。
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