第三話 『初回クリアボーナス』
俺は着実にモンスターを倒しながらレベルを上げていた。今やLv.9となり、あと1レベルで二桁に届くところまで来ていた。
このダンジョンを一周すると、また入り口に戻ってから奥に進んでいくといったことを繰り返していた。
ゴブリンは二分に一体出てきて、たまに集団のゴブリンやスライムを見かけるぐらいだった。
何故かスライムは襲ってくることが無いので、俺は安全に倒すことが出来る。
《経験値が入りました。》
《経験値が上限に達しました、レベルが上がります。》
目も前に現れたゴブリンを倒すと、もう何度目か分からない天の声が頭の中に流れてきた。
「よっしゃ!」
ついにLv10に到達した。
これくらいレベルがあれば、釜瀬に対抗することぐらいなら出来るだろう。それに、そろそろあの部屋に挑んでもいいだろう。
《次元転移を発動します》
俺は、次元転移でとある扉の前まで飛んできた。
物凄く禍々しい雰囲気を溢れ出させているその扉の先には、ショウワールさんいわくこのダンジョンのボスであるホブゴブリンがいるらしい。
俺のスキルは、決して万能という訳では無い。俺が死んでしまえば当然スキルは使えない。
そんなことは起きないだろうが、もしホブゴブリンに即死させられてしまえば俺は死んでしまう。
それに、漫画とかでよくあるボス部屋内では転移ができなかったりする可能性を考慮して、レベルが10くらいになってから挑戦しようと思っていたのだ。
俺は、覚悟を決めて扉を開ける。すると、
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉー-----ー-」
と、周りの空気もろとも振動させる程の大音量の声を上げながら、ホブゴブリンが咆哮という名の挨拶で俺を出迎えてくれた。
だが、今の俺からするとそこまで恐怖を感じることはなかった。
《次元転移を発動します》
俺は今まで道理に次元転移でホブゴブリンの背後に転移し、短剣でその心臓に刺し込み、またもとの位置に戻る。
すると、ホブゴブリンは最初の方は怒りに任せて俺に突進をしてきたが、徐々に心臓あたりから大量の血が溢れていくにつれ速度を落としていき、今ではもうバッタリと倒れてしまった。
《経験値が入りました。》
《経験値が上限に達しました、レベルが上がります。》
《経験値が入りました。》
《経験値が上限に達しました、レベルが上がります。》
今までのモンスターと同じくらいの相手だった気がするが、やった一体レベルが二つも上がった。
案外サクッと勝てたな。まあ、ショウワールさんがいきなり俺たちが死ぬようなダンジョンに案内するとは思っていなかったけれども。
《ダンジョンの初回踏破を確認しました。初回クリアボーナスとして、キヨハラショウスケに今最も適したスキルを与えます。》
《スキル「経験値増加」を手に入れました。》
「ん?」
今なんか物凄いことを天の声が言っていた気がするんだが。
俺は慌ててステータスを確認する。
ステータス
Lv.12
名前 キヨハラ ショウスケ
年齢 17歳
職業 未設定
HP 530/530
MP 825/840
SP 680/690
固有スキル
・次元転移
スキル
・偽装
・危機感知
・加速
・経験値増加
「な、なにぃぃぃぃぃぃー-」
なんと、スキルが一つ増えていたのだ。それも、俺が今かなり必要そうなスキルが。
そういえば、今さっき天の声がダンジョン初回クリアボーナスとか言っていたな。
つまり、俺がこのダンジョンを初めてクリアしたからもらえたのか。
それとも、このダンジョンを初めてクリアした人には皆与えられるのだろうか?
俺がう~んと悩んでいると、奥の方に俺たちを召喚したやつの数分の一くらいの魔方陣んが現れた。
あれに乗れば多分地上に戻れるのだろう。
俺はそれに乗ろうと思ったが、その前に俺の中にとてつもない発想が浮かんできた。
確かに、その方法は一度考えた。しかし、それはMP消費量と効率を天秤にかけて、やることを断念した。
だが、ホブゴブリンのあの経験値と初回クリアボーナスが何回も手に入ると考えれば、経験値がたとえ入ってこなかったとしてもお釣りがくる。
そう考え、俺はその方法を実行に移す。
「次元転移」
《次元転移を発動します。》
別に声に出さずともスキルは発動するのだけれど、なんとなく言う。
そして、俺は今ホブゴブリンの前に立っている。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉー-----ー-」
さっきと同じ咆哮を聞きながら、俺は走ってホブゴブリンの背後に回り、心臓に短剣を差し込む。
すると、先程と同じような抵抗を見せた後、すぐに息絶えた。
《経験値が入りました。》
《経験値が上限に達しました、レベルが上がります。》
さすがにレベルは1しか上がらなかったか。
さて、俺が何をしようとしているのかはもうわかっただろう。
そう、俺は四次元間を転移して、ボス戦をループして経験値稼ぎをしようとしているのだ。
また、この時点でまだ俺はこのダンジョンをクリアしてはいないので、初回クリアボーナスはまたもらえると踏んでいる。
《ダンジョンの初回踏破を確認しました。初回クリアボーナスとして、キヨハラショウスケに今最も適したスキルを与えます。》
やはり、俺の予想は当たっていたか。
そう確信した俺は、次にもらえるスキルに思いを巡らせていた。
しかし、一向に次の天の声が聞こえてこない。俺が不信に思っていると、
《キヨハラショウスケがこのダンジョンの初回クリアボーナスを所持していることを確認しました。》
「ん?」
《このダンジョンの管理者に、この事態をバグとして報告します》
何言ってんだ?
ダンジョンの管理者とか聞こえた気がするんだが。
何が起きるのかと、内心ドキドキしながらつぎのアクションを待っていると、奥の方に先程と同じように魔方陣が現れた。
(何も起きないのかよ!)
そう内心突っ込んでいると、その魔方陣は俺が近づいてすらいないのに突如光りだした。
《このダンジョンの管理者が現れます。》
すると、その魔方陣の中から一人の美しい金髪の女性が現れたのだった。
~あとがき~
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