第10話「JKの友達」
・
あの先輩と別れてから私への風当たりは少し強くなった。数日ほど休んで被害者面したのが悪かったのか、というか私は元々被害者なのだが……そこは良いとしてとにかくそんな理由で一軍女子に嫌われているらしい。
だからと言って高校に入学してる以上、いじめようとしてくる女子たちも馬鹿ではなかった。
今まで仲良く話していたのに一切話さなかったくらい。
まぁ、そのおかげで中心グループの女子からの風当たりが強くなっているわけだ。
「はぁ……」
「あれ、嫌だったかな?」
私のため息に反応したのは正義感の強いスポーツ部の生徒だった。
「いや、なんでもないです。心配してくれてありがとうございます」
「そ、そう? ならいいけど……」
「はい」
「せ、せっかくならご飯一緒にどうかな?」
私が優しく微笑みながら感謝を示すと、彼女はお弁当片手に少し照れながらそう言った。
だが、生憎と今日は先客がいる。
「ごめんなさい、先客がいるので……」
「あ、そ、そうですか……」
悲しそうな目をしたがこればっかりは仕方ない。そう言って、私は颯爽と教室を出ていった。
・図書準備室にて
「遅かったね、ゆきちゃん」
「まぁね、ちょっと色々あって……」
「へぇ……色々ねぇ、まぁいいけど」
意味ありげに笑みを浮かべて、向き直ったのは私の唯一の友達である
まぁ、友達とは言ったが私も細かい所はあまり知らない。とうか、そう言う話にずけずけと入るほど私は人に興味がない。
え、あるだろって?
あ、ぁ…………あ、り、はするけど……それは例外で。ほんとに、勘弁してください皆さん。
「顔、赤いけど?」
「へっ——な、そ、そんなわけっ」
「嘘つくわけないじゃん。二人しかいないのにっ」
「……そ、そうねっ」
「…………まぁ、分かったわよ。その感じじゃ男の話のようだし、私は付けいらないわよ~~っぷぷ」
「に、にやけながら言うんじゃないわよ……」
「だって、あんなにとがっててムスッとしてるゆきちゃんが——頬赤らめながら動揺しているんだもん。そら、笑っちゃうわ!」
「っく……と、とにかく、やめて……恥ずかしいからっ」
「はいはいっ——とにかく、早く座りなよ」
未だニマァと笑みを浮かべていたがこれ以上は無意味な気がして、私は夢がバシバシ叩いたテーブルの向かい側に座った。
「ご飯食べてもいい?」
「えぇ、いいわよ」
本を片手に「ふむふむ」と呟きながら鼻をホジホジする夢。さすがに目の前で弁当を食べているのだから汚いことをするのはやめてほしい。
この姿は私しか見ていないから、インテリ系の女子が好きな男子からは人気が高いけど……こんな姿見たら幻滅するだろうな。
一年生だし、外部の先輩からの支持も厚いのに恋愛に関して一ミリも興味のないところなんか本当に羨ましいくらいだ。
特に文化祭の時なんて―—って、まぁこの話はやめておこう。彼女のためにも、いろいろとインテリ好きなドMだんs……おっと言ってしまっては意味がないな。
「それでぇ―—どうなの?」
「何が?」
「この前の先輩の話」
「え、あぁ……」
すると、話題に出されたのは星くんに出会ったその日に別れた先輩の事だった。
「別れたわよ、もちろん」
「……付きまとわれてたりはしてない?」
「してないわよ、そんなのしてくるわけないわっ。ヤリ捨てしてきたのはあいつだし」
「へぇ……大人にねぇ」
「やめて、私からしたらあんなの卒業って言わないわ。蹂躙よ」
「……まぁ、死ななくてよかったわ」
「まぁね……迷ったけど」
勿論、あの瞬間は死んでやろうと思っていた。しかし、それ以上にいいこともあったんだ。
「男なんでしょ?」
「え」
「いや、さっきの」
「っ——だから、詮索はやめてよ……そうだけど」
「ビンゴね、景品は何かしら?」
「……だったらヤリチンでもあげるわ」
「うわぁ……」
そう言うと夢は苦虫をかみちぎるかのような顔で呟いた。
「あ、そう言えばそろそろアレがあるわよね?」
「あれ……あぁ、アレか」
「楽しみね、その助けてくれた男の子くんにも会えるのかしら?」
「……会えるかもね」
「あ、認めた」
「っめんどいからよ。ほんと、本ばっかり読んでるおかげで先を読むことだけはできるんだから」
「残念ながら勉強も1位よ?」
「……そうですか」
下らない話をし続け、私はチャイムが鳴る目に教室に戻った。ちなみに私の学年順位は2位である。
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