2-2持ち物確認
私たちはたまたま預かっていたシャルさんの魔法のポーチの中身を確認する事にした。
「ごめんなさい、シャルさん。緊急事態だからポーチの中身とか見ちゃうね」
私はそう言いながらポーチの蓋を開けて手を突っ込む。
するとポーチの中に色々な感触を感じると同時に触った物が何だか頭の中にイメージが湧いてくる。
とりあえず触った物から引っ張り出すのだけど……
「これってナイフ?」
「包丁みたいだね?」
最初に引っ張り出したのはナイフのような万能包丁みたいな感じのモノだった。
とにかくこれは助かる。
何かを切ったりなんだりするのに役立つからだ。
私は次に手を突っ込むと、フライパンやお鍋、薪や寝袋、毛布にドライフルーツの入った袋、銀色の弓矢や衣服なども出てきた。
「凄いね、シャルさんこんなの入れっぱなしだったんだ。あ、これってもしかして……」
さらに手を突っ込んでそれを引っ張り出すとものすごくスケスケのネグリジェとか赤い派手な下着まで出てきた。
「なにこれ? スケスケの服だ。あ、このパンツ真っ赤だね? 変なの。ねえお姉ちゃん?」
「うっ、こ、これってやっぱりその……」
思わず両手でつまみあげてしまった下着は大切な所以外がスケスケのもの凄く大人の下着だった。
手触りなんかもの凄く良いからこれってやっぱりアインさんの為に準備している下着なんだろうなぁ……
私はそれを見ながら赤面する。
「お姉ちゃん、何顔を赤くしてるの? そのパンツお姉ちゃんには大きんじゃないの?」
「う、うるさい! 私だってシャルさんくらいになればもっと凹凸がはっきりするわよ!!」
お子様のルラには分からないだろけど、これとネグリジェを着たシャルさんを想像すればあのアインさんって人だってきっとイチコロだよね?
確かにエルフ族はスレンダーだけど、流石に大人のシャルさんは泉で見た時にはちゃんと女性の身体だった。
ブラが無い所を見ると下着とネグリジェだけだなんて、やっぱり大胆で大人だなぁ……
「お姉ちゃん、何時までシャルさんのパンツ見てるの? あたしお腹すいた!」
「はっ!? あ、ええ、そうね//////」
慌てて下着とネグリジェだけはポーチに戻して引っ張り出したこれらの見る。
そしてドライフルーツの入った袋を開けてみるけど、結構な量が入っている。
「とりあえずこれ頂いちゃいましょう。シャルさんにはあとで変わりの何かを返すと言う事で」
「そうだね、あたしお腹ペコペコだよ~」
そう言いながら余分なものはしまい込み、二人でドライフルーツを食べ始める。
そして食べながらこれからの事を考える。
「取りあえずさっきみたいな化け物はルラがいるから何とかなるだろうけど、まずはこの森を抜けなきゃだよね?」
「もごもご、うん、ドライフルーツ美味しいけどこればかりじゃ飽きちゃうもんね」
ルラにそう言われて気付く。
水はたまたエルハイミさんから習った【水生成魔法】ってのを使えば何とかなるけど、食料の確保とかは考えなきゃいけない。
ドライフルーツは多分持って二日。
それまでに何とかしなきゃいけない。
幸い料理する道具とかはあるからキノコか何かを見つければ……
「お姉ちゃん、あの怪獣て食べられるのかな?」
「怪獣て……」
ルラはさっき倒したあの怪獣を見ながらドライフルーツを食べ終わり、手をパンパンと叩いている。
確かにエルフは肉も食べられるけど、あの怪獣って食べても良いの?
いくら背に腹代えられないとは言えあんなの食べて大丈夫なのかな?
「ルラ、怪獣は後回しにしてとりあえず今日は寝る所と食べ物探しましょう」
「うーん、たまにはお肉食べたいけど、そうだね」
あんな怪獣がいる所だから寝る場所なんかも考えなきゃいけない。
私とルラは木の上に昇って周りの様子を見る。
しかし見渡す限り森になっていて、ここを抜けるのは一苦労しそうだった。
仕方なしに次に木の実とか無いか探してみると、松ぼっくりみたいなのがあった。
「お姉ちゃん、松ぼっくりみたいのあったよ?」
「松ぼっくりかぁ、もしかして松の実があるかもしれないから見て見ましょ。あれは栄養価も高いはずだから役に立つしね」
言いながらたくさんの松ぼっくりを探して来てそれを調べる。
「あった!」
松ぼっくりの少し開きかけのヒダヒダの根元に茶色い皮膜のような物に包まれた白っぽい松の実がくっついていた。
「へぇ~昔見た松ぼっくりとちょっと違うんだね?」
「生前の日本にある松ぼっくりとは違うみたいね? 確か本で読んだことあるけどヨーロッパとかでは松ぼっくり自体も食べられるんだって。後、松の実はダイエット効果があるってテレビで言ってたもんね」
生前の知識を思いだし、その松の実を取り出してゆく。
結構重労働だけど。
そして一つ口に含んでみると……
「うわっ! 凄く脂っこい、まるで胡桃みたい!」
「え? あたしも!」
ひょいぱくっ!
ルラもそれをつまんで口に入れる。
すると私と同じく驚きの顔をする。
「ほんとだ、これ美味しい! 胡桃みたいだねお姉ちゃん!」
「うん、でもこれって食べ過ぎると良くないらしいから、保存食としてしまとめておこう。少しずつ食べる分には大丈夫なはずだからポーチに入れておけば何時までも新鮮だしね」
私はそう言って大きめの葉っぱを見つけてそれにくるんでポーチにしまう。
そしてまた周りをきょろきょろと探すけど、なんか色鮮やかなキノコが生えている。
ルラもそれに気づいてそっちに行くけど、首をかしげてそれを見ている。
「お姉ちゃん、このきのこ食べられる?」
「うーん、見た事無いよね? お母さんと一緒に採りに行ったキノコに中にこんなの無かったような……」
しかしそのキノコ以外に食べられそうな物は無かった。
なのでとりあえずそれを採って来て葉っぱの上に並べる。
「うーん、どうしよう?」
「食べられるかな?」
「毒キノコだったらシャレにならないわよ? 流石におっかなくて冒険する気にはなれないなぁ」
「あ、そうだ、お姉ちゃんの能力で毒って消せない?」
二人してキノコとにらめっこしていたけど、ルラが私の能力で毒を「消し去る」事が出来るのではないかって言い始めた。
「どうかな? そんなに便利な能力じゃないような気もするけど……」
私はそう言いながら手をかざし、毒を「消し去る」と念じる。
すると一瞬キノコが淡く光って元通りになる。
「えっ? 今の感じ、毒が『消え去る』感じだ…… 何この能力、以外と使えるかも!」
「毒無くなったの? やった! お姉ちゃんこれでキノコ食べられるよ!」
私とルラは喜んで手を取り合う。
とりあえずこの能力を使えば食べるものは何とかなりそうだ。
たとえ毒があっても「消し去る」能力を使えば何とかなりそうだ。
私とルラはとりあえず食料の確保が出来るめどが立ったので喜ぶのだった。
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