張袞3  軍略進言

参合陂さんごうはの戦いの前、慕容宝ぼようほうが攻めてきたときに、張袞ちょうこん拓跋珪たくばつけいに言っている。

「慕容宝は滑台かつだい東晋とうしん劉牢之りゅうろうしを撃退し、長子ちょうし慕容永ぼようえいを討伐した勢いに乗じ、兵力軍資を注ぎ込んで攻めてきております。まともにやり合うべきではありません。弱った兵士を軽装にて前線に出し、やつの油断を誘うべきであると愚考致します」

拓跋珪はその建言に従い、結果参合陂での大勝を得た。


拓跋珪が帝位について間もなく、給事黃門侍郎に移った。中山ちゅうざんを攻めるにあたって、張袞が再び拓跋珪に進言する。

「慕容宝は慕容三世の資本を受け継ぎ、城と堀を固めております。いま陛下の武威が天下に高らかに鳴り渡っており、奴らの討伐が必至であると申せど、兵力を尽くして攻め落とすのは王者のなすべき戦ではございませぬ。楚漢戦争の折には酈食其れきいきせいに出向いて田橫でんおうを説得、人質を差し出すことを承諾させました。戦国燕せんごくえん魯仲連ろちゅうれんは立てこもるりゅうの將に進退窮まったことを手紙で告げ、自殺に追い込みました。臣めの徳は古人に及ばず、格段の策を提示する知略もございませぬ。ただ陛下の霊威を仰ぎ頼らば、民衆たちはそのお力に感化されましょう」


拓跋珪はこの進言にも従い、張袞に慕容宝宛の手紙を書かせ、そこでものごとの得失について語った。慕容宝はその書面を見て大いに恐れ、遂に和龍わりゅうに落ち延びた。


拓跋珪が中山ちゅうざん入りすると、張袞による八の起議を聞き入れ、奮武將軍・幽州ゆうしゅう刺史に任じ、臨渭りんい侯に封じた。


張袞は任地にて清廉倹約の暮らしを貫き、人々には農業桑業を奨励した。人々は張袞の統治に安らいだ。




慕容寶之來寇也,袞言於太祖曰:「寶乘滑臺之功,因長子之捷,傾資竭力,難與爭鋒。愚以為宜羸師卷甲,以侈其心。」太祖從之,果破之參合。

皇始初,遷給事黃門侍郎。太祖南伐,師次中山。袞言於太祖曰:「寶憑三世之資,城池之固,雖皇威震赫,勢必擒殄,然窮兵極武,非王者所宜。昔酈生一說,田橫委質;魯連飛書,聊將授首。臣誠德非古人,略無奇策,仰憑靈威,庶必有感。」太祖從之。袞遺寶書。喻以成敗。寶見書大懼,遂奔和龍。既克中山,聽入八議,拜袞奮武將軍、幽州刺史,賜爵臨渭侯。袞清儉寡欲,勸課農桑,百姓安之。


(魏書24-7)




ばっしんばっしんドでかい軍略を当てる。どういう信頼だこれ。

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