劉眷   独孤部の後継者

劉庫仁りゅうこじんの弟、劉眷りゅうけん慕容文ぼようぶんによって劉庫仁が殺されると、独孤どっこ部の統治を継承した。


まもなくしてはく部の大人である絜佛きっふつが謀反を起こす。劉眷は討伐に出たが、鎮圧はできなかった。そのため苻堅ふけんに援軍を乞い、張蚝ちょうこうに出向かせる。張蚝が絜佛を撃破した。


劉眷はまた賀蘭がらん部を善無ぜんぶにて打ち破った。さらに柔然の別部統帥である肺渥はいあく意親山いしんさんにて撃破、牛や羊数十万頭を得た。


劉眷の次男、劉羅辰りゅうらしんは機転に優れ、また知謀も備えていた。そんな劉羅辰が劉眷に言う。


「ここしばらくの軍役は向かうところ敵なしですね。ともなれば、父上におかれては、心腹の病について早期に取り除かれるようお願い申し上げます」

「誰のことだ?」

「いとこの劉顯です。あの者は残忍極まりなく、明日朝はおろか、この夜にいきなり乱を起こしても不思議ではありません」


 劉眷はその進言をまともに受け取らなかった。後に牛川ぎゅうせん河畔に移動したとき、劉顯が決起、劉眷を殺害し、独孤部を簒奪した。劉羅辰は拓跋珪のもとに逃れた。この辺りの話は外戚伝に詳しい。




庫仁弟眷,繼攝國事。白部大人絜佛叛,眷力不能討。乃引苻堅并州刺史張蚝擊佛,破之。眷又破賀蘭部于善無,又擊蠕蠕別帥肺渥于意親山,破之,獲牛羊數十萬頭。眷第二子羅辰,性機警,有智謀,謂眷曰:「比來行兵,所向無敵,心腹之疾,願早圖之。」眷曰:「誰也?」曰:「從兄顯,忍人也,為亂非旦則夕耳。」眷不以為意。其後,徙牧于牛川,庫仁子顯,果殺眷而代立。羅辰奔太祖,事在外戚傳。


(魏書23-5)

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